[PR]血液型で当たる無料占い:アナタと私の相性は?《無料診断》


     
△0510 『手紙』 東野圭吾
×0509 『震度0(ゼロ)』 横山秀夫
△0508 『アフターダーク』 村上春樹
△0507 『ダーク』 桐野夏生
△0506 『仇敵』 池井戸潤


△0510 『手紙』 >東野圭吾/文春文庫

 背表紙あらすじ:強盗殺人の罪で服役中の兄、剛志。弟・直貴のもとには、獄中から月に一度、手紙が届く…。しかし、進学、恋愛、就職と、直貴が幸せをつかもうとするたびに、「強盗殺人犯の弟」という運命が立ちはだかる苛酷な現実。人の絆とは何か。いつか罪は償えるのだろうか。犯罪加害者の家族を真正面から描き切り、感動を呼んだ不朽の名作。

 単行本の発刊時からなんとなく気になっていたのだが、なかなか手を出せないでいた作品。文庫化と同時に購入。表紙は羽ばたく鳥が手紙を携えている単行本の方が印象的だった。単行本と文庫本とで表紙が変わるものと変わらないものがあるが、どういった基準なのだろう。出版社が異なると変わるパターンが多いような気がする。ちなみに単行本は毎日新聞社刊。

 さて、物語のほうは犯罪者の兄とその弟の話。兄は冒頭に出てくるだけで、後は彼の手紙が紹介されるだけ。物語の中心は犯罪者である兄を持ってしまった弟・直貴の方である。自分自身が罪を犯した訳ではないのに、襲い掛かる理不尽な不幸。もし、自分の身の回りに同じ境遇の人物がいたら、どのように応対するだろうか。そんな問いを持ちながら読み進めた。

 犯罪者のその後という点では、真保裕一の『繋がれた明日』という作品がある。こちらは犯罪者の家族ではなく、犯罪者自信が主人公。自分自身が犯した罪が、人生に付き纏い、なかなか更正できない。そんなジレンマを描いた作品だが、それでも自分の犯した罪だから、自業自得とも言える。しかし、本書は犯罪者の家族というだけで、仕事も恋愛もうまくいかない青年の物語。微妙な問題であり、東野圭吾がどこに結論を持っていくのか興味深く読み進めた。

 一番印象に残ったのは、平野という家電量販店の社長の言葉。正々堂々と生きようとする直貴に対し、果たして正直なことが最良の選択かと禅問答のような問いを投げかける。その問いに対する、直貴の答えは…。直貴の答えもショッキングだったが、それに対する兄の返信は大きな感動を呼ぶものであった。号泣はしなかったが、静かに涙してしまった。

 さて、本書には冒頭の殺人事件以外に、これといった大きな事件は発生しない。直貴の人生を淡々と綴っただけである。色々な作風を持つ東野圭吾だが、この淡々とした語り口というのは彼の大きな特徴ではなかろうか。先日読了した『殺人の門』も別の意味で淡々とした怖さがあった。淡々とした中に、熱い思いと重厚なテーマを覗かせる。今後も彼の作品に期待したい。

>2006.11.08.WED


×0509 『震度0(ゼロ)』 >横山秀夫/朝日新聞社

 私には凝り性なところがある。その最たるものは、特定の作家の全著書を読もうとするところであろう。過去に遡ると、高校時代には星新一や筒井康隆。大学生の頃は司馬遼太郎や隆慶一郎。社会人になってからは、高村薫、岡嶋二人、高杉良などなど。SFから歴史小説、ミステリー、ビジネス小説へと変遷している様がよく分かる。そんな私も最近は目移りが激しく、なかなか特定の作家を読み込むということをしていない。そんな中、単行本の段階からほとんど全作品を網羅しているのが横山秀夫である。

 その重厚なストーリー展開と人間の盲点を突くトリックは言わずもがなだが、彼の素晴らしいところはミステリー一辺倒ではなく、人間の心理が良く書き込まれているところであろう。警察小説を得意とする彼であるが、たまたま舞台が警察なのであり、警察官も一人の人間だという視点を忘れていないところが凄いと思うのである。

 本書は警察内部の人間模様をこれでもかというくらいに書き綴った小説である。N県警といういつもどおり地方の警察が舞台であり、特定の主人公がいるわけではない。本部長の椎野、警務部長の冬木、警備部長の堀川、刑事部長の藤巻、生活安全部長の倉本、交通部長の間宮。彼ら六人が主役であり、さらには彼らを取り巻く部下たちも、彼らの権力闘争に巻き込まれていく。

 また、一度も登場しないのだが、陰の主人公とも言えるのが警務課長の不破である。本小説は彼の失踪を契機に、N県警内部が混乱していく様を描いた、横山秀夫が得意とする警察内部の物語である。

 優秀で実直な不破警務課長。彼がなぜ失踪したのか。その謎解きが物語の根幹となるのだが、人々の権力や地位への渇望から、不破の失踪に尾ひれがつきはじめる。女と逃げた? 政治がらみ? 憶測が飛ぶ中、ラストには意外などんでん返しが待っている。

 しかしながら、個人的にはあまり好きになれない小説であった。理由は二つ。一つ目は、これは本書で堀川が指摘しているのだが、不破の失踪に対して誰も本気で心配していないという点。ラストへの伏線にもつながる事実でもあるのだが、いかに警察組織が出世争いの極みといえども、同じ組織人として寂しすぎる気がしたのである。そしてもう一つは、不破の失踪と神戸の震災をぶつけた点。タイトルも震災からとったのか『震度0』となっているが、警察内部の話を書くのに、震災をぶつけた意図が分からない。筆者は『クライマーズハイ』で日航ジャンボ機の墜落事故を見事に描いているが、これは筆者自身の体験があったからこその作品。本書に大惨事となった震災を重ねる意味が推し量れないのである。あれだけの大惨事、軽々しくネタにすべきではないと感じた次第。

 本書の読了により、今のところ発刊されている横山作品の全てを読み終えたと思う。前述の通り、お気に入りの作家は何人かいるのだが、ホームページに感想を全て書いているのは横山秀夫のみ。ちょうどHPを作成し始めた頃と時期がダブっているせいもあるだろうが、それだけに思い入れの強い作家でもある。期待するがゆえに厳しい評価となってしまった。

>2006.11.05.SUN


△0508 『アフターダーク』 >村上春樹/講談社文庫

 背表紙あらすじ:時計の針が深夜零時を指すほんの少し前、都会にあるファミレスで熱心に本を読んでいる女性がいた。フード付きパーカにブルージーンズという姿の彼女のもとに、ひとりの男性が近づいて声をかける。そして、同じ時刻、ある視線が、もう一人の若い女性をとらえる―。新しい小説世界に向かう、村上春樹の長編。

 洒落のつもりはないのだが、『ダーク』を読んだ後に「アフター・ダーク」である。村上春樹の小説は面白いのだが難解。書評サイトを運営している私だが、ポリシーとして、分からないことを、さも分かったかのように書くことだけは避けたいと考えている。そういった意味では「あまりよく分からなかった」というのが正直な感想。

 ストーリー的にも、さほど面白いと思えなかった。時間軸を中心に異なる物語を同時進行的に紡ぐ手法は斬新といえなくもなく、「視点」という抽象的な存在も興味深かったのだが、結局結末が見えないまま終わってしまったという感じ。ちょっと退屈な映画を見ているうちに途中で寝入ってしまい、気がつくと後半部分に突入していて訳が分からなくなった、と表現したらファンの方に怒られるだろうか。

 かといって駄作だと思っているわけではない。私自身が読み手としての成長を求められているんだなと考えさせてくれる作品である。いつの日か再読して面白いと思える日が来るといいのだが。

 そういえば、村上氏はノーベル文学賞の候補となったようだが、残念ながら選出されなかった。受賞したのはトルコの作家オルハン・パムク氏だそうである。

>2006.11.03.FRI


△0507 『ダーク』 >桐野夏生/講談社文庫

 背表紙あらすじ:【上巻】「私の中の何かが死んだ」出所を心待ちにしていた男が四年前に獄中自殺していた。何も知らされなかった村野ミロは探偵を辞め、事実を秘匿していた義父を殺しにいく。隣人のホモセクシャルの親友。義父の盲目の内妻。幼い頃から知っている老ヤクザ。周囲に災厄をまき散らすミロを誰もが命懸けで追い始めた。 【下巻】「朴美愛」偽造パスポートを手に入れたミロは海峡を越え韓国に渡る。偽ブランド品を手がける現地の男と即座に愛人契約を結ぶが、彼は自分の身代わりとなって撃たれ下半身の自由を失ってしまう。深い愛情で結びついた二人は復讐を決意した。覚醒剤、レイプ、殺人。善悪を超えて世界を圧倒する壮絶な魂の遍歴。

 桐野夏生は好きな作家なのだが、唯一苦手なのが村野ミロシリーズ。なぜ苦手かと聞かれると答えようがないのだが、なぜか合わない。良い悪いの問題ではなく、合う合わないの問題。ファンの方には申し訳ないが…。にもかかわらず、手にとってしまったのは、古本屋で上下400円で販売されていたのと、上下ニ冊組にするくらいなのだから、筆者も気合を入れて書いたのだろうと推測したからである。

 結果は、まずまず、といったところであろうか。前半は私にとっては退屈な描写が続いたのだが、第5章の「光州(クァンジュ)が燃えている」の辺りから加速度的に面白くなってきた。それにしてもお隣韓国で起こった光州事件については、恥ずかしながら本書を読むまで全く知らなかった。ある種の暴動であろうか。WEBで検索すると、「1980年5月韓国全羅南道道庁所在地光州市の民主化を求める学生や市民が軍部隊と衝突した事件。(当時の韓国政権では「光州事件」と呼ばれた。)市民の決起は5月18日に始まり、抵抗は5月28日まで続いた。この間、光州は軍事封鎖され、電話も遮断、軍の武力鎮圧により多数の市民が死傷した」とのことである。

 しかしながら、このような事件が急に挿話されており、最初は非常にとまどった。ミロが九州で出会った韓国人が第5章の主人公・徐鎮浩(ソ・ジンホ)だと気付くのに時間がかかってしまい、ミロが生きている舞台が80年代だっただろうかと錯覚してしまった。携帯電話が出てくるのに80年代ということはありえないだろうと、さらに混乱してしまった。

 さて、下巻に入り、ミロの人生が急転換する。急速に堕ちていくという表現が似合うだろうか。この「堕ち方」が『疾走』に似ているななどと考えたりもした。自分自身がそれなりに満足のいく生活を送ることが出来ているせいか、このような「堕ちる」小説に何となく惹かれてしまうのである。

 解説に書かれていたのだが、今回のミロについては、ファンの期待を裏切る行動が多く、戸惑うファンが多かったとのこと。逆に考えると、ファンを裏切るような展開だったからこそ、ミロ・シリーズが苦手な私が最後まで読み通せたのかもしれない。次はミロの子供の成長過程が描かれるのだろうか。何となく期待してしまうんだよなぁ。

【上巻】 【下巻】 >2006.10.31.TUE


△0506 『仇敵』 >池井戸潤/講談社文庫

 背表紙あらすじ:幹部行員の裏金工作を追及した恋窪商太郎は、謂れなき罪を着せられメガバンクを辞職。エリートから地方銀行の庶務行員となるが、人生の豊かさを知る。だが、元ライバルからの電話が再び運命を揺るがす―。不正を知った男は謎の死を迎え、恋窪は“仇敵”への復讐を誓う。 乱歩賞作家、渾身の連作ミステリー。

 10月も終りに近づき漸く決算が一段落。それにしても10月に入ってまだ4冊目というのは相当スローペースである。これからは読書の秋。積読の方は溜まっていく一方なので、何とか挽回せねば…。

 さて、本書はお気に入りの作家の一人、池井戸潤の連作小説である。元銀行員の知識を生かして、いつも面白い小説を提供してくれる。本書は「庶務行員」に着目した短編集。

 そもそも庶務行員という存在を、本書を読むまで知らなかった。庶務行員とは。私が解説するよりも本書の一文を抜粋した方がよいであろう。「庶務行員の仕事は支店の雑務である。銀行には、一般行員と庶務行員との二つの職種がある。一般行員は、さらに四年生大学を卒業した男性を中心とした総合職と、高校や短大卒の女性を中心とした一般職とがあるが、庶務行員はそのどちらでもない別の職種なのである。男性行員であるにもかかわらず、征服があり、店内案内や様々な雑役をこなすことを仕事としており、昇給も出世も極めて限定された職種といえる」

 少し大きな銀行の支店に行くと、制服を着た男性の方がATMの使い方を教えてくれたりするが、彼らがいわゆる庶務行員なのであろう。なんだか、警察官のキャリア・ノンキャリアの世界を思い出してしまい、あまりいい気分はしなかった。しかしながら「差別ではない区別」というのは社会にとって必要なのかもしれない。一般社員に比べて簡単な仕事だということは高学歴を必要としないのかもしれないし、責任も重くないであろう。残業もさほど多くないのかもしれない。銀行という一企業において、限られた職務をこなす人というのは必要なのだろうし、また安定した銀行でのこのような職種を望む人もいるのであろう。

 それにしても、庶務行員についての解説が第3章まで出てこないのはいただけない。何となく想像はつくのだが、主人公の恋窪の立場が、この解説を読むまでは分かりにくかった。ちなみに本書の主人公は、ある大手銀行のエリート社員から、某地方銀行の庶務行員に転職した男である。なぜ、転職したのかという謎が、徐々に明らかにされてくるところもなかなか面白い。

 最後はハッピーエンドともいえず、若干の消化不良を感じさせるが、全体としてはまずまずの出来栄え。何よりも庶務行員という縁の下の力持ちを主役に据えた点がいい。しかしながら筆者の力量を考えると、もっともっと面白い小説が書けるだろうという期待が入ってしまうので評価は△とさせていただいた。

 最後に、恋窪が後輩に語った言葉を抜粋して終わりたい。「アドバイスと言えるかどうかわかりませんが、事業計画が出されたときには、二つの視点で目を通してみることですよ。一つはこの計画を信用する視点、もう一つは徹底的に疑ってみる視点です。信用するのは簡単ですけど、疑うのは難しい」

>2006.10.29.SUN

苗村屋読書日記 [102]

     



































[PR]500000円当る!通信講座:通信教育の費用に♪今なら無料で車も当る