△0565 『赤龍王』 本宮ひろ志
△0564 『カルロス・ゴーン経営を語る』 カルロス・ゴーン
△0563 『病気にならない生き方』 新谷弘美
△0562 『これから5年−かしこい頭の使い方』 堀紘一
△0561 『ソニーの法則』 片山修


△0565 『赤龍王』 >本宮ひろ志/集英社

 初読はいつだろうか。アマゾンで検索すると発売が1987年になっている。コミックが発売されて直ぐに購入した記憶があるので、中学生の頃だろう。もう20年も前の作品なのだが、本書は、私にとっては非常に印象深い作品である。古本屋で廉価版のコミックスを見つけたので、そんな思い出に浸りながら、大人買いしてしまった。

 なぜ印象深いかというと、本書をきっかけに歴史小説を読み始めたから。それまでも偉人の伝記などは読んでいたのだが、あくまでも子供向けのもの。本書をきっかけに司馬遼太郎の『項羽と劉邦』を手にしたのだ。

 『項羽と劉邦』といえば、中国の歴史の中でも『三国志』に次いで有名なエピソードではなかろうか。劉邦と虞美人との恋愛など、史実と異なる話を散りばめながら、張良や韓信といった、個性的なサブ・キャラクターをうまく引き立てて、面白く描いている。なかでも魅力的なのは劉邦のキャラクターであろう。町の荒くれ者だった劉邦が、その人間的魅力で、多くの部下を掌握していく様は、原題の経営にも通ずるであろう。

 そんな魅力的な作品だったのだが、一番最後のページを見てショックを受けた。それまで尽力してきた韓信などの部下たちを、次々に誅殺しているのである。見開き1ページに文字だけで淡々と描かれている様が、妙にリアルに感じてしまった。これも史実だろうかと、司馬遼太郎の『項羽と劉邦』を手にしたのである。今の私であれば、軍事力にて作った国を、これからは政治力にて統治していかなけらばならず、その為にも軍事的に力を持った部下を排していったのだと理解できるのだが、中学生の私には、非常にショックであり、理解出来ない世界だったのだ。

 いずれにせよ、本書を通じて司馬遼太郎に触れ、その後様々な作品に触れることができた。本書を読んでいなくとも、司馬遼太郎には出会っていたであろうが、その時期を早めてくれたという点で感謝したい一冊である。

>2007.06.22.FRI


△0564 『カルロス・ゴーン経営を語る』 >カルロス・ゴーン + フィリップ・リエス/日本経済新聞社

 とあるプロジェクトに巻き込まれ、超多忙の日々。更新も随分と滞ってしまった…。さて、ゴーン氏については、日産での実績もさることながら、そこに至るまでの経歴に興味を持っている。様々な国での経営を経験し、異文化に溶け込む術と言うのは見習うべきものが多い。私自身、海外駐在を希望しているので、色々と勉強になる著書であった。

  • ミシュランで海外赴任をした際:自分がまだ若い場合、赴任して最初にすべきことは人間関係を作り上げること。部下の管理職の人たちと一緒に過ごすことによって、自分のことをわかってもらい、交流を深め、その管理職たちが直面している問題と、それをどうやって解決しようとしているか、そのやり方を知る必要がある。そこで一番大切なのは「チームを作る」こと。
  • 財務担当者とは、英語で言う「ビーン・カウンター」(そろばん勘定をする人)ではなく、事業や資本市場への投資、銀行からの借り入れを常に最適化することを考える人のこと。
  • 戦略的思考が人を導く。戦略は、手元にある手段や、自由に動かせる人員に基づいて決定するのではない。反対に、確信し決定したことを実行するために、必要な準備を整えなければならない。

  • ルノーの第一の問題点は、社内が煙突を何本も立てたような構造になっていたこと。社内をクロス・ファンクショナルにする必要があった。部門間の分厚い壁を打ち壊し、風通しを良くし、皆が一緒に問題解決に当たれるようにすることが重要だった。
  • 私はいわゆる戦闘的な人間ではない。人との間に緊張した部分があれば、それをほぐすように努力した。もちろん、喧嘩腰で臨んだり、人を非難したりするようなことはしない。こうと決めたことは譲らなかったが、対立を強めるようなこともしなかった。
  • 日産に来るとき、日本に同化しようと思った。日本での暮らしは私の人生の一部になるのだ、日本は私の一部になり、日産も私の一部になるのだを自分に言い聞かせた。

  • ルノーから日産に赴任するメンバーは、有能で、熱意があって、開かれた精神をもった人々を選んだ。また、彼らには「君たちは宣教師ではない。君たちが日産の人々を受け入れるのではなく、日産の人々から受け入れられるのだ」とも言った。合理的であると同時に、人の気持ちを理解し、両社を結ぶさまざまな架け橋を建設していくことにより、組織の再編と業績を向上を目指していった。
  • 日産の最大の問題点は収益性志向の低さだった。どの車を売れば収益が上がり、どの車を売れば損失を出すかをよく知らないまま販売していたのである。後で正確なコスト分析をした結果、43車種のうち、黒字だったのはわずか4車種だったことが分かった。
  • 日本の経営に欠けているものは、戦略的ヴィジョンである。物事をはっきりさせ、単純化し、優先順位を与えて、皆が合意するような計画を作らなければならない。さらには、ヴィジョンをより鮮明にし、一つの行動計画に変え、どうやったらそれが効果を発揮するのか、具体的な方法を考えてあげなければならない。具体的な方法を思いつくためには、状況をよく知って、分析する必要がある。要するに、一番大切なのは「知ること」なのだ。

  • 信頼とは2つの柱の上に成り立っている。1つめは成果=パフォーマンス。成果が上がらなければ信頼されない。次に透明性。透明性があれば、成果が上がっていなくても信頼を得ることができる。当初の日産は、成果について何も見せるべきものがなかったので、透明性というカードを切った。透明性とは何か過ちが起こったときに、きちんと公表して対処することである。
  • 日産で私がやってきたすべとのことは、「社員のモティベーションを高める」ためのもの。
  • 経営手法を学ぶのは、危機のときこそがチャンスだ。また、学ぶということは大切だが、実践においてはただ学んだことを当てはめるのではなく、それを超えていかなければならない。

  • この仕事を引き受けたということは、日産の過去も現在も未来も受け入れたということ。そこでプランを定めた以上、私はリスクを丸ごと引き受けたのであり、つまりは全ての責任を負ったのだ。
  • 企業の中でもあるポストから上になると、「人間としての力」が問われることになります。つまり専門知識などよりも、状況を理解し、人の話を聞き、やる気を起こさせ、物事を明確にし、大勢の力を結集させるといった能力が問われる。
  • 経営者の大切な仕事の一つとして、時間の管理が挙げられる。つまりは、2〜3年かけて車を開発し、5年以上にわたって売っていくという「長期計画」と、市場が要求する「短気の結果」とのバランスをどうとっていくかということ。
>2007.06.18.MON


△0563 『病気にならない生き方』 >新谷弘美/サンマーク出版

 新聞広告や書店でやたら目にするので気になって購入。30歳も半ば。少し健康を意識しなければという思いもあったかもしれない。

 本書の要旨はミラクル・エンザイムを消耗しない生活を送るというもの。ミラクル・エンザイムとは人間の生命活動を担っている五千種以上の体内酵素の原型となるものとのこと。エンザイム=酵素とは、生物の細胞内で作られるタンパク質性の触媒の総称だそうだ。これだけでは、なんのことやら分からないが、要は必要な酵素を補い、かつムダに浪費しない食生活を送りなさいということである。

 筆者によれば、肉、牛乳、マーガリン、揚げ物などは身体に良くない食べ物だそうだ。また、酒やタバコも最悪の生活習慣。食事の1時間前に水を飲むとよい。果物を食事の30分くらい前にとるとよい。などなど。

 究めつけは「コーヒー・エネマ」と呼ばれる浣腸であろう。その名の通り、コーヒーを肛門から注入して行なう浣腸のことである。これにより宿便や停滞便が排泄され、よい「腸相」になるそうである。

 牛乳を飲むと骨粗鬆症になる、などと書いて、業界から批判を浴びている一面もある本書。しかしながら、実際に数多くの患者の腸を見てきた筆者の発言には説得力も感じる。健康に関しては「あるある大辞典」での捏造問題など、どこまで信じていいのか分からないという不安感が常につきまとう。しかしながら、これだけは正解だと思えるのは「バランスよく食事をとる」ということ。一つの食品に頼り過ぎてもあまり効果はないであろう。過食せず、ほどほどの分量をおいしく頂くことがなによりの健康の秘訣だと感じた本であった。

>2007.05.28.MON


△0562 『これから5年−かしこい頭の使い方』 >堀紘一/PHP文庫

 今日も抜粋のみ。最近、手抜き気味だなぁ。仕事の方が、会社法施行後の計算書類関係でバタバタしているせい。趣味の手抜きを仕事のせいにしてはいけないのだが…。

  • ホンダの吉沢幸一郎専務からのリクエスト「トヨタと日産がどういうことをしようとしているかを調べてくれ」というものに対して、なぜ他社比較が必要なのかと尋ねたところ「俺が今やりたいことを、トヨタや日産がやろうとしていないかを調べたい。自分では非常にユニークなことをやっているつもりでも、実は単なる無知だっただけで、他の人もまったく同じことをやっているということが往々にしてある」とのこと。フォロアーとして自分よりも業績が上位の同業者に追いつき、追い越そうとするチャレンジ精神に溢れた一言。
  • 現実のビジネスでは、口約束にも契約書と同じだけの重みがある。
  • 一番大切なものは「信頼」、二番目が「時間」、三番目に「能力と得意技」で四番目が漸く「お金」
  • リーダーたる者は、まず松明をかざすのが何よりも重要な仕事となる。これは、組織の方向性を示すこと。

  • 幹部会議の様子を誰もが見られる環境にし、若いうちから社員たちの「視座」を高くしようと努めている。
  • 批判やクレームは会社を成長させてくれる最高の主食。人間というのは、自分に今何が足りないかを知らないと、なかなか成長できるものではない。
  • 「能力主義」と「成果主義」には大きな違いがある。「成果主義」とは「年功序列」の「功」の部分に当たるが、このやり方で徹底的に人事を行なうと、基本的に会社は成長しなくなる。なぜかというと、「名選手、必ずしも名監督にあらず」だから。営業のトップセールスが、営業部長になったからといって、適切なマネジメントができるとは限らない。セールスマンとしては4番目だったとしても、みんなから信頼されており、大局的な見方もできるから営業部長にしよう、という考え方が「能力主義」である。給料やボーナスといった金銭的な報酬は「成果」で決めて、ポストは「能力」で決定するシステムが確立していれば、会社は力強く成長していく。

  • 評価にあたっては「ネガティブ・フィードバック」が大切。相手の欠点や弱点をどうきちんと伝えるか。日本の企業では、この教育がしっかりと行なわれていない。
  • 人事発表があったら、社員同士で活発にディスカッションするのが一般的である。そのときにいろいろな意見が出てくるが、経営者がいったい何を考えているかを自分なりに理解し、昇進するためには何が必要かを悟るのである。その意味からもあるべき人事、正しい人事を行い、その裏側の情報も可能な限り公開すべきである。

  • 「こうありたい」−「現状はこうだ」=「だからこうすべきだ」
  • 全員一致は危険。全員が一つの意見に手を挙げて賛成ということは、そうすることによって自分たちが失うものに誰も気がつかない危険があるということ。反対意見を侃々諤々とやりあうことによって、それぞれの意見の欠点を浮き彫りにすることができる。
  • リーダーには部下たちに仕事の方向性を示したり、人材を抜擢してチームを作ったり、というさまざまな役割がある。だが、管理職にはこれといった専門能力もなく、ただ部下がつくった書類をチェックしたり、稟議書にハンコを押しているだけというイメージしか湧いてこない。部下が提出した書類をチェックする仕事が不要だとは思わないが、付加価値はあまりない。
>2007.05.21.MON


△0561 『ソニーの法則』 >片山修/小学館文庫

 今日は抜粋のみ。

■大曽根部隊の開発18ヵ条

  1. 客の欲しがっているものではなく、客のためになるものをつくれ
  2. 客の目線ではなく、自分の目線でモノをつくれ
  3. サイズやコスト目標は可能性で決めるな。必要性、必然性で決めろ
  4. 市場は成熟しているかもしれないが、商品は成熟していない
  5. できない理由はできることの証拠だ。できない理由を解決すればよい
  6. よいものを安くより、新しいものを早く
  7. 商品の弱点を解決すると新しい市場が生まれ、利点を改良するといまある市場が広がる
  8. 絞った知恵の量だけ、付加価値が得られる
  9. 企画の知恵に勝るコストダウンはない
  10. 後発での失敗は、再起不能と思え
  11. ものが売れないのは、高いか悪いかのどちらかだ
  12. 新しい種(商品)は、育つ畑に蒔け
  13. 他社の動きを気にし始めるのは、負けの始まりだ
  14. 可能と困難は可能のうち
  15. 無謀はいけないが、多少の無理はさせろ。無理を通せば、発想が変わる
  16. 新しい技術は、必ず次の技術によって置き換わる宿命を持っている。それをまた、自分の手でやってこそ、技術屋冥利に尽きる。自分がやらなければ、他社がやるだけのこと。商品のコストもまったく同じ
  17. 市場は調査するものではなく、創造するものだ。世界初の商品を出すのに、調査のしようがないし、調査しても当てにはならない
  18. 不幸にして、意気地のない上司についたときは、新しいアイデアは上司に黙って、まずもの(プロトタイプ)をつくれ
■木原信敏 (株)ソニー木原研究所社長
 技術者、開発者の目というのは、24時間、365日眠ることはない。私は街を歩きながらでも「あそこのあの現象を今度何かに使いたいなぁ」と、頭の中に入れておいて、必要なときに取り出してきて使う。メモはとらない。メモを取ると、単に記録として残るだけで、結局はメモ帳の中にしまっちゃうことになる。

■出井伸之 ソニー(株)代表取締役社長
 私は、ずっとマネジメントを見てきて、低次元のマネジメントというのは、歯医者みたいなものだと思った。歯医者というのは、変わるたびに「前のやり方はひどかった」という。これはマネジメントの世界でもよくあることで、事業部長が変わるたびに、新事業部長が「前はひどかった」といって、新しい手法を持ってきたりする。本来、マネジメントというのは、それをいったらおしまい。過去を否定したところに新しいものは生まれない。ずっとキャリー・フォワードされたものがあって、その上に立ってこそ、変革は可能になるのだと、私は確信している。

>2007.05.14.MON

苗村屋読書日記 [113]