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![]() ×0060 『R.P.G.』 宮部みゆき △0059 『愛のひだりがわ』 筒井康隆 ×0058 『眠れぬ夜を抱いて』 野沢尚 △0057 『眠れるラプンツェル』 山本文緒 ×0056 『左手に告げるなかれ』 渡辺容子 ×0060 『R.P.G.』 >宮部みゆき/集英社文庫/2001.08.28 宮部みゆきの作品は時代物を除いてほとんど読んでいる。文庫本書き下ろしという触れ込みで店頭に飾られていたので、即買いしたもの。作者も述べているが、短編にするには長く、長編にしては短いという、帯に短し襷に長し状態のアイデアを書き下ろしという形で実現させたものだそうだ。しかし、帯に短し襷に長しというのは、やはり作品化すべきではないのではなかろうか? 正直、中途半端な感じがしたし、あまり面白いと感じられなかった。ネット上での仮想家族というアイデアは面白く、現在の家族の意味を問うていたり、書き方によっては深く重い作品になったかもしれないが、作者自身が帯に短しと言ってしまっては、ダメであろう。
△0059 『愛のひだりがわ』 >筒井康隆/岩波書店/2002.10.01 久しぶりに読んだ筒井康隆の作品。母の死をきっかけに、家を出る少女愛。近未来の荒廃した日本を舞台に、犬の言葉が分かる主人公愛が旅を続ける冒険澹。タイトルは愛の左側にはいつも愛を守ってくれる人がいるというところから来ている。犬のデンとダン、御隠居さん、サトルなど多彩な登場人物が、愛の左側を歩いていく。これらの人物を通じて、愛自身も成長していく物語である。さすがは、筒井康隆であり、飽きさせないストーリー展開で一気に読めてしまった。 しかし、筆者はこの小説で何を描きたかったのか? 一時期は日本語の限界に挑戦するかのような実験小説を手がけていたが、そういった種類とも異なるし、スラップスティックスでもない。要所要所に現代批判とも取れる文章が出てくるが、これが主題でもないだろう。結局、逆境の中でも素直な気持ちを持ちつづけていれば良いことがある、なんていうテーマが見え隠れするだけである。少年少女向けのジュブナイル小説として書かれたのであろうか? 気楽に面白く読めたのだが、読み終わった後、そんなことが気になってしかたがなかった。誰か知っていたらオシエテ…。
×0058 『眠れぬ夜を抱いて』 >野沢尚/幻冬社文庫/2002.05.29 今日は『眠れぬ夜を抱いて』 実は野沢尚も妻に紹介してもらった作家。もともとは脚本家だそうで、どちらかというと、脚本家としての彼のファンだったらしい。結構コンスタントに面白い作品を(脚本含め)出し続けているが、本書は今ひとつだった。導入部分の銀行強盗事件。メインストーリーは一つの町を舞台に起こる連続一家失踪事件。物語が進むにつれ、これらの関係が明らかに・・・。導入部分といい、真面目に見えた主人公の豹変といい、さすが野沢尚と思わせるストーリー展開なのだが、復讐のためにそこまで自分の人生を犠牲にするだろうかと考えてしまい、なんとなく白けた感じになってしまった。マイホームに対する人々の思いや、都心を離れて自然と暮らしたいという思いが上手く反映され、日本の住宅事情などを良く調べて書いてあるなと思ったが、主人公の狂気を書ききれていなかったように思う。
△0057 『眠れるラプンツェル』 >山本文緒/幻冬社文庫/2002.03.04 ほぼ1年前に読んだ本書は、妻の紹介によるもの。妻も一人の作者にはまる方なので、一緒に色々な作品を読んだが、一番印象に残ったのがこの作品。仕事で帰ってこない夫に若干の不満を持ちつつも、満足いく生活を送っていた主人公が、ふとしたきっかけで隣の家の男の子に恋をしてしまう。その子の父親とも寝てしまったりと、大変なのだが、不思議と修羅場にはならない。しかし結末はやはりハッピーエンドとは言えず、かといって悲惨でもない。納まるべきところに納まったという感じ。章のタイトルがおもしろく、第1章から、「ねことねむる」「おとことねむる」「こどもとねむる」「ひとりでねむる」。物語の進捗を上手く表しておりスパイスが効いている。また、同じマンションに住む他の住人をモデルにした別の作品も書いており、そちらとのシンクロニシティも面白い。
×0056 『左手に告げるなかれ』 >渡辺容子/講談社/1998.12.10 今日も乱歩賞。この本で保安士という職業をはじめて知った。導入は悪くなかったが、全体としては今ひとつの印象。謎解きも少し陳腐ではなかろうか? まぁ好き嫌いの世界になってしまうが、あまり面白いとは感じられなかった。しかし、タイトルは秀逸。善いことをするときは、自分の左手にも知られないようにしなさいという聖書の言葉からの引用だそうだが、今まで読んだ中でも3本の指に入るほどのいいネーミングだと思う。それだけに名前負けしているようで惜しい。乱歩賞は新人向けの賞だけあって、若干審査基準が甘いのかもしれないが、年度によりムラが激しい気がする。ただ、長く活躍している作家の2作目以降には期待できるものがある。この作者にも未来を期待したい。
苗村屋読書日記 [12]
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