

△0080 『13階段』 高野和明
△0079 『仕事の技術・勉強の技術』 矢矧晴一郎
△0078 『女たちのジハード』 篠田節子
△0077 『静かなタフネス・10 の人生』 城山三郎
△0076 『自分の意見が言える人になれ』 竹村健一
△0080 『13階段』 >高野和明/講談社/2003.05.19
しばらく新しい本を読む暇がなく、1週間ほど過去に読んだ本のメモなどで凌いできたのだが、久しぶりに新刊を読了。電車の中でもぐったりして、あまり本を読む気がしなかったのだが、本書は最初から引きずり込まれ、一気に読み終えることが出来た。帯を見ると乱歩賞受賞作とあるが、乱歩賞よりもむしろ、映画化で有名ではないだろうか? 私も映画の方で最初に本書の存在を知ったクチである。しかし、映画は見ていなかったため、「死刑囚を救い出せ」というコピーを見て、大脱走を試みるアクションものだと思っていた。実際は犯行時の記憶を喪失した樹原という青年の、殺人の冤罪をはらすため、刑務官(南郷)と出所間もない主人公(純一)が、無罪の証明を探す物語である。樹原の無罪を主張するためには真犯人探しが不可欠ということで、素人二人が色々推理しながら犯人の足跡をたどっていくのだが、この過程もなかなか楽しませてくれる。
また、第4章「過去」は非常に重く感じた。仕事として人を殺めるのは死刑執行人と兵士くらいであろう。兵士の場合、戦場という凶器の中で殺さなければ自分が殺されるというシチュエーションであるが、執行人は無抵抗の相手を殺さなければならない。刑務官である南郷は、ボタンを押すことが出来なかった後輩に代り、自ら絞首台のボタンを押した男である。通常は、3つのボタンを3人が同時に押すことにより、誰が殺したかをわからなくするそうだが、この時は後輩が怖気づき、押せなかったボタンが、死のボタンだったのだ。一方、純一は、正当防衛で佐村という青年を殺してしまった経験を持つ。自分のせいで遺族や世間から白い目で見られている両親に対して、大きな負い目を感じている青年である。
結局、物語は4つの犯罪が複雑に絡み合い、ミステリーとして十分楽しめるものであった。死刑制度という重厚なテーマと、真犯人探しというミステリーが旨く調和した素晴らしい作品であった。4つの犯罪とは、(1)純一が正当防衛?で佐村を殺してしまったという犯罪、(2)真犯人が保護司を殺したという犯罪、(以下ネタバレ注意)☆(3)佐村の父親が復讐のために純一を殺そうとした犯罪(真犯人の罪をなすりつけようとして)、(4)佐村が純一の恋人を強姦したという犯罪(南郷が純一の過去や性格に疑いを持った意味がラストで明かされる)☆ 犯罪が犯罪を呼ぶという悪循環、復讐というものの怖さを描いた作品でもあった。
最後に1つだけ不満を言いたい。南郷が純一を真犯人探しのパートナーに選ぶという偶然。なぜ、偶然かは本書を読んでいただければ分かるが、この偶然は出来すぎで、「偶然嫌い」の私には耐えられないものであった。しかし、この偶然なくして物語は成り立たないので、如何ともし難い。そこだけが消化不良となってしまった。次作に期待したい。

>2003.05.19.MON
△0079 『仕事の技術・勉強の技術』 >矢矧晴一郎/三笠書房/1999.06.28
今日は過去のメモでお茶を濁しておこう。
- メモを取る=仕事が終わった後、メモを読み返して1日を振り返る。
- どういう順序で仕事をやればよいかをじっくり考えてから行動する。
- 違う種類に見える仕事の中にも、必ず共通部分がある。この共通部分を取り出して標準化する。つまり、最も速く、しかも、質がよくできる仕事の仕方を発明する。その上で標準化した仕事の仕方を次々に他の仕事に横展開で応用していく。
- 追われる仕事より、追いかける仕事を。仕事の先取り、先手必勝。準備に時間をかける。
- 行動することでたいていの心配は解消する。心配するだけの引っ込み思案になるな。
- 多角的代案を立てる練習をすることで、マンネリが防げ、今まで思いつかなかった仕事のやり方を見つけることができる。
- 解決型=今ある問題点を直そうとするタイプ。欠点・デメリットをなくす人。理想型=理想を掲げて実現しようとするタイプ。あるべき姿・利点を考えて伸ばす人。→時と場合に応じて、解決型と理想型を使い分けられるように。
- 断片型=仕事の対象を絞って、掘り下げて成果を鋭く出す。統合型=仕事の対象を広げて、総合判断をして成果を大きく出す。
- 知識より智恵 → 知識は固定的で応用が利きにくく、考える力が弱くなる。→ただし、知識も豊かで、深く、体系的であれば役に立つ。

>2003.05.18.SUN
○0078 『女たちのジハード』 >篠田節子/集英社文庫/2000.02.11
休日に12時間労働は応える。仕事で疲れたので、元気の出る本を紹介したい。篠田節子の作品というと、一風変わった印象のものが多い。それほど作品数は読んでいないが『夏の災厄』『贋作師』『カノン』『聖域』など、宗教的な色合いが入っていたり、どこか幻想的だったりとジャンルを位置づけるのが難しい作家だと思っていた。直木賞受賞作でもある本書『女たちの』では突如、キャリアウーマン的女性を描いており、少しビックリした。『ジハード』が聖戦を意味するので、宗教団体の女教祖か何かの話だと思って読み進めていたら、いい意味で期待を裏切られてしまった。
康子、沙織、リサ、紀子、みどりの5人を通じて女性の逞しさを描いた素敵な作品。特に康子の生き方には共感を覚え、ついつい頑張れと励ましてしまったし、占有屋相手に、マンションをゲットするシーンなど胸がスカッとした。5人それぞれが仕事や出会った男性をきっかけに少しずつ違う人生を歩き出す姿に共感を覚えた。ラストの”世の中に、「普通のOL」なんていう人種はいないし、「普通の人生」もない。いくつもの結節点で一つ一つ判断を迫られながら、結局、たった一つの自分の人生を選びとる”というフレーズも印象的だった。前にも書いたかもしれないが、これからは男だの女だのではなく、ヤル気と能力の社会になってくると思う。この本をきっかけに、世の中の女性が頑張ろうと思えば素晴らしいことだし、男性は男性でこの本を読んで発奮しなければならないと思う。

>2003.05.17.SAT
△0077 『静かなタフネス 10 の人生』 >城山三郎/文春文庫/1998.05.16
城山三郎の作品は結構好きで色々読んでいる。ビジネス小説が多い中、エッセイ風の作品。気に入った部分を抜粋。
- 人と会うときはすべて勉強の場。
- 日本だけの立場で考えない。自分の企業だけで考えない。ほかのところも考える。
- 事件が起きたらそれに従って、あまり力むことなく、しかも緻密にケロっとしてやり遂げていく。通常の場合と危機管理の場合と、まったく代わることなくやり遂げていく。
- 静かに行くものは健やかに行き、健やかに行くものは遠くまで行くことができる。
- 冷に耐え、苦に耐え、煩に耐え、閑に耐え、激せず、躁がず(さわがず)、競わず、随わず、以って大事を成すべし。→耐えることをストレスと思わず、当たり前だと思うこと。
- 心を強く、心を広く、心を暖かく、心を深く。
- 自分が見聞きしたことが書類になって出てくると、さっと一目見ればわかる。現場の知識さえあれば、書類を見る時間は少なくてすむ。
- まずい日があっても、またいい日があるだろうと、自分の気持ちを切り替えて前向きに生きていく。
- 毎日ターゲットを掲げて、今日は何をやってやろうと朝考える。
- 平凡に徹したら、いつか非凡になれる。
- 日計足らずして、歳計余りあり。→1日の単位で見ていくと足りなくても、1年の単位で見ると余りがある。
- 勇住向前、旧は旧より新たならんことを欲す。→率先してどんどんやっていくこと+絶えず自分を変えていくこと。
- 常に生き生きしていること。いつも在るべき姿を求めていること。卑しくしないこと。ポストに執着するのも、驕りもまた一種の卑しさ。

>2003.05.16.FRI
△0076 『自分の意見が言える人になれ』 >竹村健一/三笠書房/2001.06.26
今日も過去のメモから抜粋。一時期メモをテキストデータに打ち込んでいたが、これはノートに手書きをしたもの。延々と7ページに渡りメモしている。自分でも不思議だが、時々変な集中力を発揮する。ところで、今の目標はペーパレス書斎。メモや雑誌の切り抜きが多いので、大事な部分についてはHPに集約・一元化しようと考えている。私の貴重なデータベースである。しかし、直接PCに打ちこんだ方が早いんじゃないだろうか?と、何故か手書きでメモを取っていた自分を呪いつつ(確か、気に入った言葉を手で書き写すことにより脳が活性化される云々という記事を見て影響されたと記憶している)気に入ったところだけを抜粋。そのときは良いと思った言葉も、時間を置くと色あせてくる。一方、さらに輝きを増す言葉もある。自分自身の変化や環境の変化がそうさせるのだろう。(本当は全部打ちこむのが面倒なだけ)
- どうすれば「異見」を持ち、それを表に出すことが出来るのか。常に人と違う考え方が出せないかという問題意識を持って考える習慣を身につけること。
- ビジネスで一番大事なのは何が問題かを考えること。特に指導的立場に立つ人は解決策そのものを考える前に、一体何が問題なのかをひたすら考えなければならない。
- ソニーの盛田さんが求めた「生意気さ」には但し書きがつく。「中身がある」と「自分の物差しを持って自信ある行動がとれること」という2つ。
- 権利を主張するなら、それ以上の義務を果たすこと。
- これからのリーダーに求められるもの:具体的なビジョンの提示とスピードある決断力。
- インテリジェンス=知性+聡明:数多いインフォメーションの中からその価値を頭で適切に判断して、自分の目的の為に活用できるように整理されたもの。インテリジェンス情報をどれだけ発信できるかで自分の価値が高まり、それに対して返ってくる情報や集まってくる人の質が決まる。
- 社会人なら毎日必ず何人かの人に出会うはず。その時に前に会った人からキャッチした面白い情報を次にまた会う人に提供する。
- アメリカ人のスピーチはジョークで始まり、日本人のスピーチは言い訳で始まる。気の利いたジョークを言って、まず聞き手を笑わせ、リラックスさせてから本題に入る。
- 社員から「斜員」へ:下半身は会社の中にどっしり落ちつけていても、上半身は常に会社の外に出して、幅広い視野や聴覚、行動力を持てるように。決して会社人間にならず、社外でも認められるような実力を備えた人間になること。
- 頭の引出しは1つを満杯にするとともに、数を増やすこと。常にそのネットワーク全体に刺激を与え、最大限に機能する訓練が必要である。
- メモ帳や頭の中にインプットした情報はできるだけ誰かにしゃべってみること。そうすることによって情報がより鮮明化するとともに、誰もが理解できるようになり、より分かりやすく加工されていく。
メモの整理にも結構時間がかかる。必要最低限のものに絞ってUPしているが、まだまだ先は長そう。趣味ではじめたHPがノルマに感じないよう、気をつけないといけない。また、内容が薄くならないよう、じっくりと腰を据えて取り組みたい。ちょっとずつ、こつこつと。

>2003.05.15.THU
苗村屋読書日記 [16]

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