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×0085 『ダブル・スチール』 藤田宜永
○0084 『果つる底なき』 池井戸潤
△0083 『社会人の「勉強の技術」』 高島徹治
△0082 『脳男』 首藤瓜於
△0081 『オルファクトグラム』 井上夢人


×0085 『ダブル・スチール』 >藤田宜永/光文社文庫/2003.05.24

 本書は、第1回このミス9位の作品。期待して読み始めたが、今一つであった。まず、各章についているタイトルがダサい。「意外な呼び出し」「新たな襲撃計画」などなど、別に付けなくてもいいではないかと思うような小見出しが踊っている。物語自体も、パリのアマ・チームの青年が、トントン拍子にプロ野球選手になるという、ちょっとご都合主義的な話。メインタイトルの『ダブル・スチール』というネーミングはよかったが、ハードボイルドというわりには、ハードになりきれず、ミステリーと呼ぶには謎も少なくと、中途半端な印象だった。厳しいことを書いたが、この作者の作品は嫌いではない。最近の活躍はめざましいので、まぁ、デビュー当時の作品ということで納得しておこう。

>2003.05.24.SAT


○0084 『果つる底なき』 >池井戸潤/講談社文庫/2003.05.23

 ビジネスとミステリーが融合すると、両者とも自分が興味を持っている分野だけに、それだけで面白いと思ってしまう。しかし、本書はそんな贔屓目抜きにして面白かった。銀行内部の葛藤や大問題となっている不良債権をスパイスにして、骨太なテーマが丁寧に描かれている。また、物語の中心となる中小企業が半導体に絡む部分も興味をそそった。最近はシリコンサイクルが停滞し、クリスタルサイクルが活況であるが、半導体はまだまだ伸びる分野である。作中で、ある人物が「東北の田舎から米作りが厭で出てきたが、結局産業のコメ作りに関わってしまった」と告白している部分に、妙に納得してしまった。

 今や日本では1社単独での設備投資に耐えられなくなってきており、合従連衡が進んでいる。一方、お隣韓国の三星電子は絶好調である。この差は何か? いろいろ理由はあると思うが、最大の要因は「スピード」だと思う。稟議稟議で書類ばかりが必要な日本の役所的官僚的組織を尻目に、トップダウンで多額の投資を即座に決めてしまう企業に勝てるわけが無い。唯一の期待は、外資系の企業で腕を磨いた坂本氏がエルピーダメモリの社長となったことくらいだろうか。

 話がそれてしまったが、元銀行員でなければ書けない、債権回収の現場や、中小企業向けの融資なども分かりやすく書かれている。説明臭くないところもいい。「109」という謎の符号も蓋を開けると納得である。一つ難点を挙げるとすると、人が死にすぎることだろうか? 人はそう簡単に人を殺したりしない。一人殺してしまったら二人も三人も変わらない、などとは思いたくない。もう少し、人間という動物を信じて見たいと思う。

>2003.05.23.FRI


△0083 『社会人の「勉強の技術」・ここで"能力"の差がつく!』 >高島徹治/三笠書房/1999.04.17

 勉強の必要性を感じているのだが、なかなか時間が取れないのが現状。少し早起きするしかないかなと思いつつ、低血圧でなかなかつらい。それでも昨日今日といつもより30分早く出社。結局、勉強とは習慣なので怠け者の私には慣れが必要のようだ。ふと思い出して、過去のメモから勉強法を抜粋。ちなみに「勉強」という言葉は強いられている気がしてあまり好きではない。「学問」を通じて学んで問うほうがよい。

  • 理解に勝る記憶なし。対象となる事柄について、その成り立ち・構造・仕組みを十分に知る。必要な場合は、なぜそうなるかまでを分析して、理解する。理解した内容を何度も復習しているうちに、自然と覚える。
  • 勉強を進めるにあたって最初にその全体像を掴んでおく。全体を知っていると自分が勉強している内容の位置付けができるので、理解しやすくなり、時間の節約になる。今勉強している部分と、今は勉強していない部分との関連性がわかるので、両方を一緒に覚えることができる。全体を知っていると、今勉強している項目が核心的な知識なのか、付属的な知識なのかの判断がつきやすい。付属的な知識にはあまり時間をかけないようにする。テキストを開いたら、まず目次を熟読すること。

  • 勉強の技術がある人とない人の差 → 細切れ時間の使い方の差。*まとまった時間:カード作成、ノートのまとめ、計算問題、計画の遅れの取り戻しなどに利用。→時間がふんだんにあるという気の緩みが出ないように、土日の2日間を1くくりにして捉えず、AM/PMの4つに分けてみる。*1〜2時間:テキストを読む。*細切れ時間:カード学習。→カード:順番の組換えが可能。持ち運びが可能。作成するときは後から判るような書き方を。作成時に要点を箇条書きにするため、理解が深まる。テキストをじっくり読み、重要項目を理解し、要点を集約する。要点以外は捨てる勇気を持つ。後で書き足せるように余白を取っておく。
 書くは易し、行なうは難し。まずは時間作りからはじめなければならない。

>2003.05.22.THU


△0082 『脳男』 >首藤瓜於/講談社/2001.01.07

 本書も2001年の正月に買った作品である。『オルファクトグラム』を読んだ直後だったので、いい意味で比較しながら読むことができた。片や異常嗅覚の持ち主、片や無感情で肉体までコントロールできる脳の持ち主。主人公のキャラクター作りがおもしろく、鈴木一郎という平凡な名前からは想像出来ない非凡さで活躍してくれる。例えば何時間も爪先立ちで立つことが出来るなど、後半には彼の能力でしか解決出来ないシーンも登場する。さすがに、ストーリー展開を井上夢人と比べるのは酷だろうが、発想力ではひけを取らないのではないか? あとはいかにコンスタントに作品を書き続けることが出来るかである。人は自分の人生を振り返ることにより、誰でも一つは優れた小説を書くことが出来るという。そこから脱皮して2つ、3つと作品を重ねることが難しいそうだ。乱歩賞受賞から2年以上たつが、残念ながら筆者は1作品を残しているだけである。

>2003.05.21.WED


△0081 『オルファクトグラム』 >井上夢人/毎日新聞社/2001.01.01

 本書は、2001年の正月に読んだ作品。確か、妻が仕事で忙しく、正月休みは読書三昧だと10冊ほど買いこんできた中の1冊。このミスに影響されて買ったのだが、非常におもしろく、1日で読みきってしまったのを覚えている。聞きなれない『オルファクトグラム』という英語は「嗅覚」という意味だそうで、その名の通り、嗅覚が異常発達し視覚化できる能力を身に付けてしまった少年が主人公である。まず、この発想が素晴らしく、これだけのアイデアだと、物語がいかようにも膨らませられるのではないかと思った。ストーリー展開やトリックとは異なり、「特殊能力」に関するアイデアは無限の可能性を秘めている。

 同じような感想を持ったのが、荒木飛呂彦の『ジョジョの奇妙な冒険』を読んだ時である。これは少年ジャンプに連載されていた漫画なのだが、「波紋」という特殊能力をキーに物語が展開していく。この物語の面白い所は、漫画でありながら章立てがあり、それぞれの章で時代が移り変わって行く点である。しかも、主人公が息子などへバトンタッチされていくのも壮大な構想を感じさせる。私が中学・高校生のころの作品だが、毎週月曜日のジャンプ発売日が楽しみでならなかった。実は先ほどホームページで荒木飛呂彦を検索してみてビックリ。なんと『ジョジョ』第5章まで続いていたのである。最近は少年コミックなど読まないのでてっきり終わっていたと思った作品が続いていたのを知って、何ともいえない嬉しさを感じた。私は第3章までしか知らないので早速読んでみたいと思う。ちなみに第3章では「スタンド」というこれまたユニークな特殊能力が大活躍しているので、こちらもお薦めである。

 大幅に話がそれてしまったが、本書『オルファクトグラム』も非常に面白い作品であった。ミステリーとしての構成には若干物足りない部分もあるが、嗅覚の視覚化というアイデアの時点で完敗である。井上夢人にはぜひ、こういった面白い発想・着眼点の作品を書き続けてほしいと思う。本格ミステリーの書き手はたくさんいるが、こういった不思議な分野の書き手では彼が随一と思っている。

>2003.05.20.TUE

苗村屋読書日記 [17]

     



































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