[PR]看護師の好条件な求人情報満載:≪高待遇な求人続出≫専任がサポート!


     
×0130 『発火点』 真保裕一
△0129 『経営パワーの危機』 三枝匡
○0128 『家鳴り』 篠田節子
×0127 『人質カノン』 宮部みゆき
△0126 『経営論』 宮内義彦


×0130 『発火点』 >真保裕一/講談社/2003.07.21

 父と息子の物語という点では、『ボーダーライン』を彷彿させ、父親という存在を通しての"自分探し"という点では、『奇跡の人』を思わせる作品。正直、テーマが分かるような分からないような、私の中では不完全燃焼の作品であった。ストーリーは父親を殺された過去を持つ主人公・敦也が、つきあった2人の女性を傷つけながらも、父親の死の意味を探すことにより成長していくというもの。

 まず、感じたのが冗長さ。主人公の内面を書き込もうとしているのは分かるのだが、うじうじした独白が続くため、なかなか読み進めることが出来なかった。それでも、後半に向かうにつれ、父親はなぜ殺されたかという謎に迫ってくるため、期待して読み進めたのだが・・・。結局、殺人犯の動機が良く分からないままであった。

 真保裕一というと、『ホワイトアウト』や『連鎖』などのイメージが強いため、どうしてもミステリーや冒険小説を期待してしまうのだが、作者自身は少し違う方向を目指しているのかもしれない。高村薫が『晴子情歌』で脱・ミステリーを図ったように(未読だが)。そういえば『ストロボ』なんかも、謎を残しながらも、ミステリーといえる作品ではなかった。そう考えて読むと、本書もいい作品なのかもしれない。一度、ある分野で傑作を残した作者というのは、別の分野への転換が難しいのだろう。

>2003.07.21.MON


△0129 『経営パワーの危機・・・会社再建の企業変革ドラマ』 三枝匡/日経ビジネス文庫/2003.07.18

 三枝氏は現在、ミスミという企業の社長である。ミスミというのは、チーム型の組織で着実に成長してきた優良企業。元社長の田口弘氏の独自の発想によるものであるが、ある程度の規模になり、更なる経営の向上が必要だということで招聘されたのが三枝氏である。本書はビジネス書の中でベストセラーとなった『V字回復の経営』を読んで、面白いと思い買ったもの。1994年の作品であるから、若干の古さは否めないが、『V字回復』につながる経営マインドを熱く語る著書であった。評価は限りなく〇に近い△。『V字回復』との比較から、あえて△を付けたもの。ちなみに、筆者の作品には『戦略プロフェッショナル』というものもあり、これら3部作を読めば、三枝ワールドはある程度理解できるであろう。

 さて、本書の主人公は新日本工業という大企業の新事業開発課長。あることをきっかけに倒産間近の出資会社である東洋アストロンという会社の社長となる。これは新日本工業の社長である財津が、次代の経営者を育てるために、発案したものである。伊達に対して財津が投げかける殺し文句がなかなかいい。「伊達君、いいか、私は君に強制するつもりはないからな。見とおしが暗いと思えば無理するな。しかし君が自分の能力を問題にして、この仕事ができるかどうかを迷うのなら言っておく。この仕事は…おまえなら…できる」 日本の大企業の中には、経営者足りうる人材は沢山いるのに、経験を積む時間のないまま年を取ってしまい、いざ経営者の立場になっても、判断が出来ないというパターンが増えていることを危惧している。最近になってようやく経営層の若返りが図られつつあるが、欧米企業などに比べるとまだまだだろう。

 再建に乗り出した伊達は、まず各部門間の情報の共有が上手くなされておらず、悪循環に陥り、赤字体質になっていることを指摘。問題点を図表化し、社員たちの議論を引き出す。また、新製品の開発については、マトリックスを用いたセグメント分析を行い、20あった開発製品を1つに絞りこんだ。限られた資源を、限られた時間内に効率よく投資するためには、絞りこみが必要不可欠である。博打的にならないよう、しっかりとした分析に基づいた絞りこみがなされなければならない。これらの戦略を着実に実行し、東洋アストロンは急成長する。

 ここで終わらないのが本書のいいところである。急成長した東洋アストロンに慢心した伊達が、他の企業買収などを計画する。それを一喝し、社長を辞めろとまで言う財津社長。しかし、財津は伊達に挫折を味わわせることも成長の糧だと、先を見据えていたのである。お釈迦様の手のひらの上の孫悟空のような伊達だが、次代の経営者として、一皮剥けていく。  三枝氏の著作を読んで感じるのは、戦略の大切さと、「燃える人材」の大切さだということである。コンサルタント出身というと、戦略を第一に、いや戦略こそ唯一のものと考えるものだと様に思っていたのだが、企業は「ヒト」だということを再認識させてくれる貴重な存在であった。

>2003.02.19.SAT


○0128 『家鳴り』 >篠田節子/新潮文庫/2002.07.23

 篠田節子という作家は、私の中で少し不思議な位置にある。ミステリー作家ではないだろうし、ホラー作家でもない。宗教的な作品を書くかと思えば、『女たちのジハード』のようなキャリアウーマンの生き方を描いたりもする。作家のことを〇〇作家と決めつける必要は全くないし、むしろ次はどんな作品を書くかと楽しみなのだが、なんだかふわふわしたイメージである。本書は、七編を収録した短編集。それぞれの作品のインパクトが強く、1年前に読んだ本なのだが、題名を見るだけで内容を思い出すものが多かった。比較して申し訳ないが、昨日コメントした『人質カノン』は内容をほとんど忘れており、パラパラと読み返す必要があったのである。それでは各作品を紹介したい。

 『幻の穀物危機』…穀物危機という近未来を描いた一種のパニック小説。東京で起こった大地震を契機に、避難民が食料を求めて地方都市に殺到する。パニック小説というと長編で練り上げていくようなイメージがあったのだが、短編ながらコンパクトによくまとまっている。危機に面した日本人のエゴイズムがよく表現されており、いざとなったら女性の方が強いというのも、女性作家ならではなのかもしれないが、妙にリアルである。残酷なシーンが多く、そういった意味では好きな作品ではないが、一気に読ませる作品だった。

 『やどかり』…ふとしたきっかけで中学生の女の子と肉体関係を持ってしまい、その為、女の子にずっと付きまとわれる男の話。女の子は自分の生活を維持するため、兄弟たち家族を守るために必死なのだが、打算があるような、無邪気なような、掴み所のなさが怖い。最初から男をだましてやろうという大人の女性にはない、「女の子」ならではの怖さがある。ラストは男が蟻地獄に嵌って行くという比喩的表現で終わっており、やるせなさが残る作品。

 『操作手』…寝たきり老人を介護する機械が、「心」を持ってしまう話。悔悟される老女の方も、痴呆が進み機械に恋心を抱いてしまう。何も言わない機械と、やたらに饒舌な老女とのコントラストが怖い。介護が必要な寝たきり老人が増えていく昨今、オートメーションという、いかにも日本人がやりそうな方法で乗り切ろうとするのを、いち早く皮肉った作品。

 『家鳴り』…愛犬の死をきっかけに、過食症となり、太りつづける妻の話。趣味ではじめたパッチワークに値が付き、一家の収入を支えるに至るのだが、収入と同じように体重も増えつづける。夫のほうは意地のように妻の為に料理を作りつづける。ラストは雪に包まれた美しくも哀しいシーン。

 『水球』…スポーツの「水球」ではない。ガラスで出来た球の中に水を張り、魚を閉じ込めた「水球」である。ストーリーは高卒の「株屋」とその愛人との関係を中心に進んでいく。会社の倒産、浮気がばれての離婚と踏んだり蹴ったりの騒動の後、水球の中の魚を自由にしてやる。水とガラスに閉じ込められていた魚はレンズの作用で拡大されていた為、中から出てきたのはちっぽけな魚。会社や家庭という「水球」に閉じ込められていた男と重なり、非常にむなしい気分にさせられた作品。

 『青らむ空のうつろのなかに』…母親の虐待から逃れるために、養豚場のある施設に預けられた子供の話。集団の中で、成長していくかと思いきや、豚に対して異常な愛情を持ち始める。自分が愛した豚を食べるという壁を乗り越えることが出来ず、最後には人間が生きていくためには、あらゆる生命を口にしないといけないということに絶望を抱く。本書の中で、唯一ハッピーエンドといって良いかもしれない、一番好きな作品。

>2003.07.17.THU


×0127 『人質カノン』 >宮部みゆき/文春文/2001.09.24

 宮部みゆきという作家は長編向きだと思う。決め付けてはいけないと思うが、今回の短編集は、宮部のよさがあまり出ていなかったように思う。少し前に感想を書いた『R.P.G.』でも感じたことだが、ある程度の長さがないと、登場人物の心理が書き込めず、消化不良に終わってしまうのではないだろうか。本書には7篇の短編が収められているが、その中でちょっといいなと思ったのは2つ。

『人質カノン』・・・深夜に起こったコンビニ強盗の話。主人公の逸子は強盗の現場に居合わせる。捕まった犯人と犠牲になった青年との関係を聞いて、遣る瀬無さを覚える。互いに感心を持ち合わない現代社会をチクリと風刺している。ラストの数行がいい。「三日とあけずに通う店なら、普通なら店員が客の顔も名前も覚えるだろう。世間話くらいするだろう。(中略) ところがコンビニとはそういう場所ではないのだ。そういう場所でないことをみんなが求めているのだから」

『八月の雪』・・・いじめグループから逃げる途中で交通事故に遭い、片足を失ってしまった少年。その少年が亡くなった祖父の遺書を見て、少し勇気付けられる話。まぁ、分からなくはないが、少し話が飛躍しているような気がした。そんな些細なことで立ち直ることが出来るだろうかと。しかし、人間というものは、ほんのちょっとのきっかけで立ち直ることが出来るのかもしれない。この短編もラストがいい。「それはたしかな証拠になる。どれほど辛い目にあっても、何も信じることができなくなっても、一度は遺書を書くほどのところにまで追い詰められても、そこで負けてしまわなければ、そこから盛り返して生きてゆくことの意味を、価値を、どこかで必ず見つけることができるということの。諦めるのは、捨てるのは、まだ早いということの」

>2003.07.16.WED


△0126 『経営論』 >宮内義彦/東洋経済/2001.10.15

 オリックスの宮内義彦CEOの「経営論」である。一度、サンデープロジェクトだったか、TVのインタヴューに答えているのを聞いて、しっかりした意見の持ち主だと思ったことがある。経営に興味を持っていたこともあり、手にとって見たもの。ビジネス書なので、いつものように気になった部分を引用してみたい。

 人材は「資産-減価償却」賃金体系や報酬制度もB/S(貸借対照表)やP/L(損益計算書)などの企業会計に置き換えて考えることができる。例えぱ、アメリカの投資銀行などでは、いうなれば社員を「P/L」化している。一年間の収益目標を社員ごとに決めて、それをもとに年俸を設定しているから。これは売上計画に対して費用を予算計上しているようなものだから、個々の社員の報酬がP/L化されているようなものだといえるだろう。これに対して、日本の報酬制度の考え方を会計制度で置き換えてみると、日本企業は社員をB/S上に「資産計上」しているようなものである。これまでの日本型の雇用制度は社員が定年まで働くことを前提にしてきた。このことは「22歳、○×大学卒」といったように新入社員を固定資産として、B/Sの左側に、その生涯賃金を負債としてB/Sの右側に計上してきたようなものである。例えば、新入社員一人当たり3〜4億円をB/Sに計上することになる。そしてこの資産を減価償却して、毎年のP/Lに減価償却費として落とし込んでいく。減価償却費とは、購入した資産の代金を買ったときに一度に費用計上するのではなく、耐用期問に合わせて費用計上する会計処理のこと。新入社員を採用したときに3〜4億円の生涯賃金を企業が一度に支払うわけではないので、新入社員の採用はこの減価償却の会計処理に似ている。これまでの日本型の雇用制度では、定年を迎えるまで毎年償却していって、B/S上の資産や負債が定年時にちょうどゼロになるという具合。日本企業は無意識のうちにコア社員を長期的な資産だと考えてきたはずである。つまり、終身雇用を続けてきた日本企業の経営者の心構えはB/S方式になっていたと見ることができる。
 >このロジックにはハッとさせられるものがあった。さすがに優秀な経営者は「柔軟」かつ「会計的」な発想が出来る。

 大切なことは、「この情報は私の努力でつかんだのだから、私が最後までやらないといけない」というのではなく、「情報を共有したほうが会社全体でははるかに効率がいいし、ほかの人の持っている情報と結びつけることで新たな知恵が生まれるかもしれない」と皆が思うようになること。最初に情報がインプットされた場所と、アウトプットとして最適な場所(その情報によって最終的に新しいビジネスが生まれる場所)とは必ずしも一致しないからである。
 >いわゆるナレッジマネジメント的な発想である。ナレッジマネジメントの要点は、いかに情報が出やすい環境を作るかだと思っている。せっかくの情報を提出しても、それに対する見返りがなければ、損をしたと考える社員が多いだろう。情報を共有しやすい文化とインセンティブが必須である。

 幹部の仕事は各々その階層に応じて時間軸で計るべきだろう。一つの例だが、役員の仕事は1〜3年先、部長クラスは今期のことを中心に来期までのオリックスのことを考えるのが仕事だと思っている。
 >とはいうものの、平社員だって時には会社の2〜3年先のことを心配してもいいと思う。

 市場経済のもとでは、経営トップの一つの判断ミスで会社はつぶれてしまいかねない。経営者として最も大切なことは「全社をつぶさないこと」である。危機意識を常にもっていないと、対策が後手にまわり本当の危機を招いてしまう。「会社はつぶれるものだ」ということを意識するのが、経営者としての出発点ではないだろうか。
 >特に大企業のぬるま湯に浸っている人は心しないといけない。資金繰りが苦しくて潰れてしまいそうなくらいの危機感をもってキャッシュ・フローを改善すべきだと思う。

 適材適所を実行するためには、開発段階では「型破りな発想ができる人」、立ち上げ段階になったら「寝食を忘れて集中できる人」、軌道に乗ってきたら「持久力に優れて大きな視野の持てる人」など、専門知識だけではなく、それぞれの社員の持つ特性まで考慮すべきである。
 >自分としては、開発段階の「型破りな発想ができる人」だと思っているのだが、周りはどう見ているのだろう。

>2003.07.15.TUE

苗村屋読書日記 [26]

     



































[PR]エコプロダクツ2009が熱い:日本最大級の環境展示会に行こう!