△0135 『蒲生邸事件』 宮部みゆき
△0134 『仕事を成し遂げる技術』 デビッド・アレン
△0133 『トヨタ式・最強の経営』 柴田昌治
×0132 『パーク・ライフ』 吉田修一
△0131 『パレード』 吉田修一

△0135 『蒲生邸事件』 >宮部みゆき/毎日新聞社/1998.08.03

 随分前に読んだ本だと思っていたら、なんと5年前に読んだもの。自分がタイムスリップしそうである。最近、ちょっと読書ペースが落ちてきており、しばらく過去の読了本でご勘弁を。といいつつ、最近は前から狙っていた本が文庫化ラッシュ。『ビタミンF』『リセット』を早速ゲット。更には、直木賞おめでとうということで、石田衣良の『池袋ウエストゲートパーク』も入手。嗚呼、積読が増えて行く・・・。

 さて、宮部みゆきというと私の中でのベスト3は、(1)『模倣犯』、(2)『龍は眠る』、(3)『レベル7』となっており、不動のクリーンナップと言ったところ。『龍は眠る』を超える作品がなかなか出てこなかったので、『模倣犯』を読んだよきは思わず喝采。ちなみに、次点は『火車』。支持の多い『理由』は少し好みとは違ったので△。本書『蒲生邸事件』も、あと一息で○というところの△。そうそう『クロス・ファイアー』も結構好きな作品デス。

 さて、タイムスリップものの割りに、パラドックス的な要素が少なかったので、SFを期待して読み始めた私にはちょっと物足りなかった。しかし、主人公の孝史が、歴史の真っ只中に放り込まれて成長していく様は、面白く読むことが出来た。また、平田の語る歴史観も興味深く、歴史という大きな河の流れを感じた。「過去に放り込まれたとしても、現在、つまり、その時点から見た未来は変えられないが、現在を生きる我々は、未来を変える力を持っている」そんなメッセージが伝わってきたように思う。

>2003.07.28.MON


△0134 『仕事を成し遂げる技術』 >デビッド・アレン/はまの出版/2001.11.06

 仕事の進め方に関する本を読んでいると、たまに、自分が普段行っているのと、同じ手法に出会うことがある。そんなときは、「そうそう」と共感を抱きながら、一気に読めてしまう。本書はそんなたぐいの本であった。

■「未完了」なものを百パーセント集める
「バケツの水漏れ」を防ぐためには、あなたが未完了であると考えているすべてのもの、あるいはそれらを代表しているものをすべて1か所に集める必要がある。あなたが必要とするものはすべて、あなたの頭のなか以外のどこかに集められるべきなのだ。
 書類受け、紙のメモ帳、電子のメモ帳、録音装置、eメール

  1. すべてのペンディング事項は、あなたの収集システムに納めて、頭から追い出さなければならない。
  2. 「収集バケツ」の数は、最小限におさえなければならない。
  3. それらを定期的に空にしなければならない。

>私が共感したのはまさにこの部分である。やらなければならないことを、すべて1箇所に集めて、何をすべきかの優先順位をつけ、実行していくことの大切さ。複数の仕事をこなしていく上では、絶対必要になってくる手法であるし、これが出来るか出来ないかで仕事の効率が大きく違ってくると思う。

■行動する必要のないもの
バケツの中の仕事は、やるべきものかどうか? もしその答えがノーであれば、3つの可能性がある。

  1. それはゴミ。もはや必要ではない。
  2. 今は何も行動する必要はないが、あとで何かする必要があるかもしれない→ねかす
  3. これは潜在的に有用な情報である。いつか、必要になるかもしれない→参照

■行動する必要なもの
バケツの中の仕事をやると決めたら、以下の3つの選択肢がある。

  1. 実行する。もし2分とかからないのであれば、それが明らかになりしだい実行すべきである。
  2. 委託する。もしその行動が二分以上かかるようなら、自分はこれをするに相応しい人間かと自らに問うこと。もし答えがノーなら、それを誰かに委託する。
  3. 延期する。その行動が二分以上かかり、あなたがそれをするに相応しい人間なら、それについて行動するのをあとに延ばし、それを「次の行動」リストに入れておこう。

■処理しはじめる前に、あらゆるものを集めることが大切である。これにはきわめて実際的な理由がある。

  1. 処理しなければならない大量のものについて知っていると役に立つ。
  2. それによって「終わり」が見えてくる。
  3. 処理しているときや整理しているときに、まだ「どこかに」まとまりのない、たくさんのものがあるかもしれないなんて考えて、気を散らしたくないもの。注意を要するものをすべて1か所に集めてしまえば、高い集中力とコントロールで、物事を処理できるようになる。

■まず一番上の項目を片づけよう
たとえ、上から二番目の項目が大統領からの手紙で、一番上の項目がジャンクメールであっても、まず、そのジャンクメールから処理しなければならない。これは、ちょっと誇張しすぎだが、重要な原則である。要するに、あらゆるものは平等に処理されなければならないのである。「処理する」というのは「時間を費やす」という意味ではない。単に、「それは何なのか、それに対してどんな行動が必要なのか」を決め、それにしたがって、さっさと片づけるということなのだ。とにかくできるだけ早くトレイの底に達することが肝心。そこにあるものは、何であれ、処理するのを避けてはいけない。

>2003.07.27.SUN


△0133 『トヨタ式・最強の経営』 >柴田昌治・金田秀治/日本経済新聞社/2002.01.30

 『なぜ会社は変われないのか』の著者である柴田昌治氏によるもの。共著者として、トヨタの関連会社で現場改善に取り組んできた金田氏を加え、トヨタの強さを語っている。メインテーマはインフォーマルなネットワーク。今なお、管理職には1日1つ以上の改善を課している、つまり今の組織はまだまだだと言い続けるところにトヨタの強さがあると思う。

  • 与えられた指示に、安易に従うのではなく、指示した人の本来の意図は何なのか、指示した人は本当は何を目指しているのか、その為にどうすればいいか。指示されたこと以外に本当にやるべきことがあるのではないかなどを自分の頭で考えること。
  • 企業が変化を始めようとした場合、その変化のスタートには必ず具体的な目標を示すコンセプトを提起できる人材=「言い出し屋」を必要とする。「言い出し屋」にはカン・コダワリ・ドキョウが必要。

  • 変革型の人材=「まぁしょうがないか」で済ますことに心の奥底で納得しない精神を持ちつづけている人。→当たり前の疑問を当たり前に持つことを忘れていない感覚の持ち主。いつも公式やマニュアルに頼って仕事をするのではなく、必要に応じてプロセスを省略せず、事実に即してじっくりと物事を見る力を持っていること。なぜ、この公式が出来たのか、事実に即してもう一度最初から考えること。事実に対してどれほど誠実か。自分のことを今のままでいいのかと見直す心の余裕を持っているか。

  • 企業を変える5つの仕組み。
    1. 人材確保の仕組み:明日の準備をする仲間集団型ネットワークをインフォーマルに作らなければならない。常識外れのテーマに取り組む必要がある。ピラミッド型組織の中から各部の代表を人選して作られたプロジェクトチームでは常識外れの改善活動に取り組むことは出来ない。
    2. 情報系の仕組み:異質な情報のぶつかり合いからアイデアは生まれる。異質な情報を得られる人脈をどれだけ持っているか、そのインフォーマルな情報交換の場をどのように社内外に作れるかが課題となる。
    3. 評価の仕組み:「明日の技術」となる常識外れの改善活動はほとんど不可能な目標に挑戦する「ダメ元」活動。活動を支援する、賞賛するなど評価の仕組みが大切に。
    4. 問題顕在化の仕組み:従来の常識では問題ではないことが、発想を変えて眺めると実は問題であることを分からせる工夫。人間の脳は困らない限り、知恵は出ない。
    5. 推進の仕組み:常識外れの行動にはトップのお墨付きが不可欠。活動が正式に認知される仕組みがなければ広がらない。

  • トヨタの人は前向き。(1)相手の話を良く聞く、(2)何が問題かを考える:「なぜ」を5回繰り返す、(3)激励する、提案する、(4)どうしたら勝てるのか知恵を出す、(5)お互いに相談する:ネットワークで仕事をする、(6)現場・現物主義を徹底する:事実に基づく、(7)まずはやってみる。

  • 経営マインドを持つというのは、いつも「これで競争に勝てるか」を考えていることであり、そこから導き出される「ありたい姿」に対して少々のリスクがあっても何とかしてしまおうという姿勢を持っているということである。
  • 仕事を取りにいくというのは、課題が与えられるのを待っているのではなく、課題を自ら考え、仕事を作り上げていくということ。
  • 自分で仕事を作るというのは、非常に細かい話でも、問題を見つければ見逃さずに、自主的に手を打って解決するという行為を日常化し、定着させることである。誰かに指示されなくても手を打てるということが、習慣化され身についているということ。

  • 初めから協力しようという意志と態勢のある者同士がインフォーマルに集まることによって大きなパワーが発揮できる。
  • 気づくか気づかないかは個人的な差であって、立場の差ではない。早めに気づいた人同士が組織の中で新しいことを始めるのが、最も現実的なパワーを発揮する。
  • 独創的なアイデアは孤独からは生まれない。ディスカッションの場から生まれる。
  • 2時間のローテーション:2時間経ったら各工程の人を入れかえる→必ず大変な工程が表れてくる→皆でなんとかその工程の作業を楽にしようと考えるようになる。人に行動を起こさせる仕組み、変化しつづける仕組みである。

  • 優秀な人ほど、自分の地位が上がると、自分の部下にどうやらせるかを考えても、自分がどういうネットワークで仕事を進めていくかは関心がなくなる。
  • 従来の管理職に何が欠けているかというと、「人」に対する基本的な理解である。どういう時に人は本気になるのか、どうすれば人はやる気になるのかということが分からない。人が本気になっていないと、環境が大きく変わってしまった時に対応できなくなる。同じマニュアルで仕事をやるにしても、自分も参加して作ったマニュアルと、押しつけられたマニュアルとでは全く意味が違う。

  • 「今」という変革を本当に必要としている時代は、「人のやる気を引き出すマネジメント」がなくては変革そのものが進まない。なぜなら変革を仕事の現場で具体的に進めるためには、指示・命令に従うこと以外に「自分の頭で考える」という行為が不可欠だから。
  • 多くの経営者は、方針は明確に打ち出しているし、戦略の方向性もはっきりさせていると考えているけれども、社員は自分たちの日頃やっている仕事との絡みで方針を具体化できない。方針というのは多くの場合、単なるスローガンである場合も多いから、それを聞いただけでは自分が実際にどうやっていけばいいのかを考える手がかりさえ見つけられない。→人というのは指示されないと動かないという暗黙の了解事項が従来型の企業の中でできあがってしまっているから。

>2003.07.26.SAT


×0132 『パーク・ライフ』 >吉田修一/文藝春秋/2002.09.29

 『パレード』を読了したので、ふと思い出して、本棚においてあった本書を手に取ってみた。メモを見ると読んだのは2001年の9月。本というのは不思議なもので、読んでいる最中は面白いと思っても、記憶に残らなかったり、あまり面白くない駄作だと思っても、妙に記憶に残ったりする。そんな中、本書は、読んでいる最中も面白くなく、記憶にも全く残っていない作品。そんな作品のコメントを書くのかと、文句を言われそうなので、パラパラとページをめくってみたり、WEBで粗筋を検索してみたり。うーん、あまり思い出せないのである。しかも、検索をしていて本書が芥川賞受賞作であることを思い出した。芥川龍之介よ、これでいいのか?

>2003.07.25.FRI


△0131 『パレード』 >吉田修一/幻冬社/2003.07.23

 千歳烏山のマンションに同居する4人の男女(男2人と女2人、但し肉体関係なし)を、それぞれの視点から綴った物語。途中でもう1人、同居者が増え、結局5章立てとなっている。手法的には桐野夏生の『リアル・ワールド』に似ており、登場人物が互いにどんな感情を抱きあっているかを、なかなか面白く書き込んでいる。仕事を持っている者や、モラトリアムを謳歌している者が混在し、それぞれが、それぞれと少し距離を置きながら暮らしている。絶世の美女と描写される琴ちゃん曰く、チャットのような暮らしぶり。

 実は、『パレード』より先に『パークライフ』を読了しており、周五郎賞の受賞作家にしては、今ひとつ、というよりも、つまらない作品を書く人だと思い、手を出せないでいた。妻に1時間で読めるよ、と言われて何とか手に取った次第。結論を言うと、評価記号△が示す通り、「可もなく不可もなく」といった感じ。1時間では読めなかったが、通勤電車の往復2時間で読了。

 登場人物の造詣や、視点を変えるといった手法などはなかなか良かったが、物語としては、あと一頑張りして欲しいところ。時間がある人は読んでみればいいと思うが、周五郎賞受賞作品だと、気負って読むと裏切られてしまう。現代の若者を淡々と描いたのがよかったのだろうか? 受賞基準がよぉわからん。

 とはいいつつ、ところどころに面白い表現があったので、小説では久しぶりの抜書きを。

  • 「今どき古いかもしれんがなぁ、大学に行ったら、いい先輩を見つけろ。一生付き合っていけるような、尊敬できる先輩を見つけろ。(中略) いい先輩に可愛がられる奴は、いい後輩に慕われるんだよ」・・・良介の父親の言葉
  • 「(自分の生い立ちの話を)してもいいけど、どうせ、ぜんぶ作り話だよ」 私はふと、「これから嘘をつきますよ」という嘘もあるんだ、と気がついた。・・・サトルが未来に話しかけた言葉
  • 「誰かに頼られてる時、人はそれに気づかないんじゃないかな」・・・良介の言葉
  • 「家出の理由は何だったの?」「理由? だから十五歳だったんだよ」・・・サトルと直輝の会話
  • 「あなたがこの世界から抜け出しても、そこは一回り大きな、やはりこの世界でしかありません」・・・隣の占い師の言葉。

 ちなみに、備忘の為、登場人物を書いておくと、杉本良介:21歳・H大学経済学部3年生。現在、下北沢のメキシコ料理店でバイト中。大垣内琴美:23歳・無職。現在、若手人気俳優「丸山友彦」と熱愛中。相馬未来:24歳・イラストレーター兼雑貨屋店長。現在、人生を見つめて深酒中。小窪サトル:18歳・自称「夜のお仕事」に勤務。現在、無駄な若さを切り売り中。伊原直輝:28歳・インディペンデントの映画配給会社勤務。現在、第54回カンヌ映画祭パルムドールの行方を予想中。ラストはなかなか面白かったが、描き方によっては、もう少し人間というものの怖さが醸し出せたかもしれない。次回作には期待できるだろうか?

>2003.07.23.WED

苗村屋読書日記 [27]

     



































[PR]話題の新車を無料プレゼント中:必ず当る抽選会!今すぐ応募で簡単GET