×0195 『T.R.Y.』 井上尚登
○0194 『快読100万語!ペーパーバックへの道』 酒井邦秀
△0193 『ビジュアル・経理の基本』 片平公男
△0192 『図解・外資系企業ハンドブック』 岸永三
△0191 『新世代ビジネス、知っておきたい60ぐらいの心得』 成毛眞


×0195 『T.R.Y.』 >井上尚登/角川文庫/2002.08.30

 最近、ビジネス書の更新ばかりだったので、あまり偏っても面白くないと思い、過去に読んだミステリーを取り上げてみた。織田裕二主演で映画化もされたので少しは話題を呼んだようだが、個人的には×。1911年という歴史を舞台にしているが、中途半端な感じが拭えなかった。コン・ゲームという設定は嫌いではないが、たまたま容姿が似た人物などそうそういるはずがなく、ちょっと御都合主義の感あり。ラストのどんでん返しも、こういった小説ではさもありなんという感じで意外性がなく、薄っぺらい感じがしてしまった。

 色々調べて歴史情の人物などを書き込んでいるのだが、いまひとつリアリティが出ていない。登場人物のラインナップはなかなか面白いので、もったいないと思う。いっそのこと、歴史を舞台にせず、現代版にしてもっと詐欺の部分を書きこめば面白くなったと思うのだが、どうだろうか? 武器の輸出など旧ソ連軍のものが出回っている様だし、現代を舞台にしてもネタには事欠かない様に思うのだが。

 全然関係ないが、作者の名前をみて「TMネットワーク」を連想してしまった。ずっと、気になっていたので改めてネットで検索してみると、メンバーの一人が「木根尚登」 名前が一緒だった様だ。我ながら変なことを覚えているものである。

>2003.12.13.SAT


○0194 『快読100万語!ペーパーバックへの道』 >酒井邦秀/ちくま学芸文庫/2002.11.14

 目から鱗が落ちた本である。そもそものきっかけはインターネットで英語の勉強に関するサイトを検索していて、「多読」というものに巡り合ったこと。要するに、英語をマスターするためには、簡単な文章から辞書を使わずにどんどん読みなさい、というものである。確かに、日本語の本を読むにしてもよっぽど意味不明な言葉に出会わない限り辞書など引かないし、前後のニュアンスで何となく分かってしまうことが多い。英語の本が読めないのは、意味がわからない単語に出会うたびに辞書を引く手間が面倒だからであって、それならば、辞書を引かなくても済むような本を読んじゃおう、というのである。

 辞書を使わずに読めるという意味では、講談社から出ているルビ訳を使う手もある。これは、難しい単語の上に、小さな字で日本語の意味が書いてある英書である。アガサ・クリスティのミステリーなどを、このルビ訳で読んでみたところ、すらすら読めはするが、英語が上達している様には感じない。恐らく同じ本をルビ無しで読んでも、ろくろく理解できないのではないだろうか。そう、ルビがあることで、思いっきりルビに頼ってしまうのである。

 では、どうするかというと、ここからが「酒井メソッド」である。知っている単語ばかりの本、つまり小学生が読むようなレベルの本から始めて、どんどん読み飛ばしていくと言うのである。この本で初めて、「GRADED READERS」というものの存在を知った。GRADED READERSとは文字通り、段階的な読書を意味しており、レベル1、2、というように使用する単語や文法が徐々に難しくなっていく本でのことある。私が取り組み始めた当初は、紀伊国屋や丸善といった大手書店にしか置いていなかったが、最近は近くの本屋でも見かけるようになってきた。(しかし、洋書なので、アマゾンで買ったほうが安く入手できる) Penguin Readers や Oxford Bookworms などがこれである。1冊500円前後するので、初級段階は30分程度で読める本が多く、コストパフォーマンスは少し悪いのだが、効果は抜群。とにかく、英文に対する恐れがなくなる。

 レベルが6段階あるので少し紹介してみたい。

  • ピンクレベル:スタートレベル。辞書無しで軽快なスピードで一冊読みきる爽快さを味わうためのもの。読書の際には必ず時間を量り、分速150-200wordsで読めるようになったら、次のレベルへ移行する。
  • 赤レベル:初級。単語レベルは200-300語(200-300種類の単語しか使用していないという意味)このレベルの本を10冊程度読んでみる。注意点は3つ。(1)辞書は引かない、(2)分からない所は飛ばす、(3)つまらなければやめる。これを守らないと、「勉強」になってしまい、愉しんで読むことが出来なくなってしまうそうである。
  • 橙レベル:単語レベルは500-1,000語。日常会話程度なら十分こなせる単語のレベル。このレベルの本をいかに沢山読むかで、英語の下地が変わってくるとのこと。ちなみに、1,000語というのは、話し言葉やニュースでは全体の95%、ペーパーバックなどでは80%をカバーする重要なもの。筆者のお薦めは『Magic Tree House』シリーズ。
  • 黄レベル:単語レベルは1,000-1,500語。少しずつ分からない単語や構文が出てくるかもしれないが、そのうち分かるようになると飛ばし読みをすることが大切。筆者のお薦めは『Stone Fox』
  • 緑レベル:単語レベルは1,500-2,000語。これまでは子供向けの本が多く、なかなか興味を持ちにくいものが多かったのだが、このレベルになると、ジョン・グリシャムのGRADED READERSバージョンが愉しめる。『The Client』は映画化もされており、有名な作品。この他、『Holes』がお薦めとのこと。
  • 青レベル:単語レベルは2,000-3,000語。筆者お薦めのロアルド・ダール著『The Witches』などは純粋に愉しめた。ここまで来ればペーパーバックまで後一息である。私自身は、このレベルの本を数冊読んで、休憩中。随分と英文に対する抵抗感がなくなったのには、感謝感謝。
 というわけで、駆け足で説明してしまったが、とにかく英語を勉強し直したいと思っている方には試す価値ありの手法である。50冊以上読破して、3万円近く投資したが、ヘタな英会話教材など買うよりもずっとリーズナブルだとおもった。

 ところで英語学習に際しては電子辞書を愛用している。誰もが認識していることだと思うが、そのメリットは計り知れない。まず、軽くてコンパクトなこと。英和辞書や国語辞典といった分厚くて思い本を持ち歩かなくていいのである。次に検索が容易なこと。ページをパラパラとめくる必要がなく、キーボードで入力するだけである。特に私が使っているSONYのDD-IC500Sという電子辞書は、スペルが曖昧なときの曖昧検索や、カタカナ発音での検索などもできて、非常に便利である。

 この辞書は名刺サイズのコンパクトさながら、英和、和英に加えて英英辞書を備えているところが魅力で購入したもの。ついつい安易に英和辞書を見てしまうのだが、英語を身に付けるためだと思って、できるだけ英英辞書を活用している。ここで威力を発揮するのがジャンプ機能である。英英辞書でわからない単語が出てきたら、その単語の意味にジャンプできるのである。こうやってジャンプを繰り返していると際限がないのだが、英語力はちょっとずつ上がっていくのではないだろうか? また、『「超」勉強法』でも紹介されていたシソーラスという類語辞書も搭載しており、英語用に購入するのであれば、十分な内容と言えるだろう。

 この他、国語辞典や漢字字典の機能もついているし、「英会話とっさのひとこと」「ペラペラ・英米旅行会話」なんてのもある。先日の海外旅行でも随分と重宝した。これだけの機能がついていて、2万円弱だったと記憶している。購入当時の話によると、電子辞書の価格は液晶の大きさに左右されるとのことで、私の持っている辞書よりも機能的に劣るものが、液晶画面がデカイというだけで、1万円近く高かったのを覚えている。当時に比べると液晶も随分安くなったであろうが、しっかりと仕様や機能を見て買わなければいけないと思った。

 デザインはつや消しシルバーでスタイリッシュ。コンパクトな為、入力がしづらいかと思ったが、さほど苦にならない。ちょっと重くて使いづらいかもしれないがソニーお得意のジョグ・ダイヤルもついている。ソニーらしい製品だといえよう。

>2003.12.12.FRI


△0193 『ビジュアル・経理の基本』 >片平公男/日本経済新聞社/1998.01.25

 入社3年目に読んだもの。管理部門の仕事をやっていく上で、経理的な知識は不可欠だと思い、遅ればせながら勉強を始めた。内容は随分古くなってしまったが、今でも気になっているところや、使える部分を抜粋。ある程度勉強した後で、改めて読み返すと、基本的な概念などが新鮮に感じたりもする。

■長期保有する資産

  • 有形固定資産:減価償却=資産の費用化、残存価額が発生(但し、土地以外)
  • 無形固定資産:減価償却=資産の費用化、残存価額はゼロ
  • 投資など:現預金化=資産から資産への転換(費用化しない)

■資本的支出と収益的支出

  • 資本的支出
     ・その使用可能期間を延長させることになる部分(耐用年数の増加)
     ・支出時の帳簿価額を増加させることになる部分(価額の増加)
       →資産価値の増加(固定資産の増加)
  • 収益的支出=修繕費
     ・現状維持を目的として支出したもの
       →費用の増加
■引当金
  • 負債性引当金:将来の支出に備えて用益の提供を受ける期間に、少しずつ費用を計上したときの貸方勘定。例)退職給付引当金 労働協約により将来支払の義務が生じる。→債務的性格
  • 評価性引当金:主お得した資産が使用や年月の経過に伴って生じる減価分を、資産の使用期間中の年度へ償却費として費用配分していくときの貸方勘定。例)減価償却引当金 資産の実体価値を評価する勘定と言う意味合い
  • 引当金の目的:期間損益計算の平準化、将来の支出に対する備え
■発生主義と実現主義
  • 発生主義:企業会計原則より
    「すべての費用及び収益はその支出及び収入に基づいて計算し、その発生した期間に正しく割り当てられるように処理しなければならない」「前払費用及び前受収益はこれを当期の損益計算から除去し、未払費用及び未収収益は当期の損益計算に計上しなければならない」
  • 実現主義:企業会計原則より
    「売上高は実現主義の原則に従い、商品等の販売又は役務の給付によって実現したものに限る。但し長期の未完成請負工事等については合理的に利益を見積り、これを当期の損益計算に計上することができる」収益の計上は、保守主義の観点から例外的に実現主義を採用。商品:発生主義=契約時、受注時、発送時、受託時。 実現主義:引渡時、収納時
■見越/繰延損益(経過勘定)
  • 見越損益:まだ金銭の収支はないが当期に属する損益項目
     ・未収収益:当期の収益を見込んで計上する
     ・未払費用:当期の費用を見込んで計上する
  • 繰延損益:すでに金銭の収支があった、次期以降の損益項目
     ・前受収益:当期の損益から除外して、負債勘定に振替え、次期以降に繰り延べる
     ・前払費用:当期の損益から除外して、資産勘定に振替え、次期以降に繰り延べる
  • 経過勘定=現金主義と発生主義のギャップを埋める為のもの
■商法と税法
  • 商法:会社の財産を保全し、担保価値を確保する。→規定の多くは資産と負債の評価。営業権など実態のない資産や、債務性の無い引当金などには消極的。
  • 税法:税収の安定的確保。→規定の多くは収益と費用(税法では益金と損金)の計上時期及び金額制限。交際費や寄付金の損金算入には消極的。
■益金と損金
  • 益金:(1)資産の販売、(2)有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、(3)無償による資産の譲受け、(4)その他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額
  • 損金:(1)収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額、(2)販売費、一般管理費その他の費用の額(償却費以外で事業年度末日までに債務の確定しないものを除く)、(3)損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの
  • 益金算入:(1)無償による資産の譲受け、(2)退職給付引当金の目的外取崩額、(3)その他
  • 損金算入:(1)繰越欠損金、(2)減価償却超過額の当期認容額、(3)新鉱床探鉱の特別控除額、(4)その他
  • 益金不算入:(1)受取配当等、(2)特別な場合を除く資産の評価益、(3)法人税等の還付金、(4)その他
  • 損金不算入:(1)償却超過額、(2)特別な場合を除く資産の評価損、(3)過大な役員の報酬、賞与、退職給付、(4)交際費、寄付金の限度超過額、(5)引当金、準備金の繰入限度超過額、(6)法人税、罰金、科料、(7)その他
>2003.12.10.WED


△0192 『図解・外資系企業ハンドブック』 >岸永三/東洋経済新報社/2003.12.08

 先日、外資系ベンチャーの日本法人に勤めている人と話す機会があった。良くも悪くもパワフルな印象を受け、外資系とはどんな感じかと興味を持ったので、購入してみた。買ってから気付いたのだが、1998年出版のものでちょっと古い。しかし、本質はそんなに変わっていないだろうと読み進めた。全体の印象としては、日本企業が見習うべきことはたくさんあるが、全て外資系、つまり欧米企業の方が優秀かというとそうではない、というもの。当然のことだが、それぞれのよい点を取り入れている企業が、今「勝ち組み」と呼ばれているのだと思う。では、外資系の長所を紹介してみたい。

 まず見習うべきだと思ったのはホワイトカラー、特に間接部門の効率化である。欧米人の集中力は凄いらしく、校正のような集中力を要する地道な作業でも、休憩無しに4〜5時間こなしてしまうという。もちろん個人差はあるのだろうが、筆者は日本人の残業が多いのは、仕事に集中しておらず、効率が悪いからではないかと指摘している。確かに気が向かない時など、コーヒーを淹れに行ったり、顔を洗ってみたり。気分転換は大事かもしれないが、就業時間内はとにかく集中して仕事をこなし、定時にさっと帰るというワークスタイルを身につけるべきかもしれない。

 次に、ある外資系企業の社長からのアドバイスを。「まず、結論を言う。そして次に理由を1、2、3。この繰り返しで話していくこと。これを繰り返していると、あなたはとても聡明だと言うことになる。理由は3つ以上言ってはいけない。アメリカ人は一度に3つのことを覚えられないから」 最後の部分は冗談だそうだが、日本人だって3つ以上は覚えられない。結論を先に言うというのは、ビジネスの世界では非常に大切なことで、私自身、普段から心がけている。プレゼンテーションなどについてもきちんと教育を受けている欧米人の間では、結論を先に言うというのは極当たり前のことだそうだ。英語という言語自体、結論から述べる様に出来ているから、日本人としては相当意識しないと難しいのかもしれない。

 最後に、本当の意味での実力主義と言うこと。高卒の女性が部長に昇進したり、中途採用の女性が役員に就任したり。日本の企業で、女性の役員というのは極端に少なく、男女平等といっておきながら、まだまだ差別は激しい。実際に仕事をしていても、女性の方が優秀だと思うことはしばしばあるし、やる気も能力もない男性を昇進させるなら、やる気と能力を兼ね備えた女性を重用すべきだと思う。もちろん、男性同士であっても、年齢ではなく実力で判断される。また、実力=パフォーマンスであり、口だけでなく実践できる人を大事にすべきである。

 外資系ではレイオフもありえるし、M&Aなどもしょっちゅう起こるので、決して安定的とは言えないかもしれない。しかし、日本のサラリーマンの場合、最初に配属された部署や、上司などによって自分の人生が変わることもしばしば。果たしてどちらがリスキィと言えるか? いずれにせよ、何が起きても大丈夫な様に、自分のスキルアップを図るべきなのだろう。

>2003.12.08.MON


△0191 『新世代ビジネス、知っておきたい60ぐらいの心得』 >成毛眞/文春文庫/2003.12.06

 元マイクロソフト日本法人の社長であり、現在は投資兼コンサルティング会社であるインスパイアの社長である成毛眞氏の著書である。発売当初に面白いタイトルだなと思って、買おうとしたのだが、たまたま行った本屋に在庫がなくそのままになっていたもの。今回文庫化されたので、早速購入。

 本編では「大企業にいることがリスクになる」と警鐘を鳴らしつつ、独自の経営論を展開している。管理部門は徹底的にアウトソーシングすべきだとか、経営者はマキャベリの『君主論』を読むべきだとか。面白かったのは在庫の削減方法。商品の棚卸を社員全員でやるのがいいとのこと。棚卸という作業は実に面倒くさいので、何度かやれば個々の社員が本能的に在庫を減らそうと気をつけるようになるそうである。また、情報システムの重要性にも言及しており、システム部門の長には、多少システムが分からなくても、現場を知りぬいた人を充てるべきとのこと。現場の声を出来るだけ多く集めることが出来る人を選べというのである。ふむふむ。

 生き残りのためのテクニックにも触れている。社内で一番有能な役員クラスの下で勉強会を開けだとか、いろんな人から入手した情報を、さも自分が入手したかのように他人に発信するだとか。共通して言えるのは、情報というのは待っていても入手できないが、一度新鮮な情報を入手し出すと、自然と次の情報が自分のところへ集まってくるものだということ。話は違うが、このホームページでも読書に関する情報を発信しており、これによっていろんな方からお薦め本の情報を入手できている。恐らく自分一人では知ることのなかったであろう名作を教えてもらえたりすると、もう有頂天である。というわけで、大いに共感できる本であった。

>2003.12.06.SAT

苗村屋読書日記 [39]

     



































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