

○0020 『サラリーマン・サバイバル』 大前研一
◎0019 『仕事のまかせ方の研究』 鎌田勝
○0018 『捨て童子・松平忠輝』 隆慶一郎
◎0017 『影武者徳川家康』 隆慶一郎
△0016 『おごるな上司!』 堀田力
○0020 『サラリーマン・サバイバル』 >大前研一/小学館/1999.01.04
大前研一とは何者だろうか? 日立製作所で原子力発電所関連の仕事をし、転職後、マッキンゼーで経営者の一員として活躍し、今は独立して執筆や教育活動を続けている。毀誉褒貶も多いが、バイタリティ溢れる人であり、実績を認めてよいと思う。しかし、いわゆるコンサルティング業に対して、あまり良い印象を持っていないので、全面的に信頼することは出来ない。と言いつつ、気になる存在であり、新刊が出るたびに買ってしまうのだが・・・。
最近はハイペースで著書を出しているが、同じ主張を繰り返すようになってきたような気がする。サラリーマン・シリーズはこの後、『サラリーマン・リカバリー』『サラリーマン・IT道場』と続くのだが、エッセンスとしては『サバイバル』を読めば十分である。そもそも、サラリーマンでない人が「サラリーマン」と謳っているところが気に入らない。恐らく自分のことは「ビジネスマン」だと思っているのであろう。
この本もメモがあったので、抜粋する。
- やろうと思った仕事を締め切りどおりにやり遂げるのがプロフェッショナル。先延ばしすることなく、他の関係者もその日までに仕事を終えるように仕掛けなければならない。
- 成功するためには、失敗しなければならないのがこれからの時代。本当に実力のある人間とは、失敗しても次は必ず成功すると開き直ることのできる人間。
- 成功するために大事なことは、「知的に怠惰でない」こと。自分が間違っているかもしれないと思ったら、いったんオールクリアの状態にして、違う前提に立って、ゼロから考え直してみなければならない。「吸収型」の頭から、「発信型」の頭に変えていくには、今までの教育で身につけてきた「知識」を一度全部捨てる勇気がいる。その勇気があれば「自分で考え始める」というプロセスがどうしても必要になってくる。
- 面白い仕事・面白くない仕事というのはない。面白い仕事のやり方と面白くない仕事のやり方があるだけ。仕事をえり好みする人間は、いつも好きか嫌いかだけで仕事が終わってしまい、経験が蓄積しない。人間に深みも、凄みも、付加価値も出てこない。
- 批判力を失わないうちに、解決力まで身につける努力をする。へたな知識よりも、SO WHAT?と考える癖と力をつけ、会社をよくするための、企画書を作ること。
- ビジネスの場合に基礎体力をつけるということは、何にでも興味を持って関心領域を広げ、自分で質問してみること。しかし、情報はできるだけ遮断して、本当に必要なことだけを深く掘り下げて考えるということも忘れてはいけない。1つのことに半年から1年、こだわって調べる。それを会社の仕事をやりながら続けていくのだ。
- 常に自分よりも2階級上の人の立場だったらどうするかを考える癖をつけるべきだ。部門別に考える悪い癖をつけず、本当の問題は何なのか、それを解決するにはどうすればいいかを、自分よりも上の人の立場、できれば社長の立場で考える癖をつけるべき。そして、今、5分だけ社長と話すチャンスがあれば何を言うか、それを常に懐に温めておくことも大切である。
読み返すと、結構いいことを言っている。特に、2階級上の人の立場に立って物事を考えるというのはよく聞く話である。仕事をえり好みせず、知的に怠惰にならず、解決力を身に付けていく。最近、仕事で壁にぶち当たっているような気がしていたので、励まされる内容だった。

>2003.3.30.SUN
◎0019 『仕事のまかせ方の研究(人を使い育てる人の哲学とノウハウ)』
>鎌田勝/日本実業出版社/1999.04.08
今までは最下層の下働きといったポジションだったのが、係長となり、指示を出したり、判断を求められる立場になった際に読んだ本。この頃は仕事関係の本をたくさん読んでいる。はじめての経験ばかりで、何とかしなければともがいている自分を思い出し、苦笑が漏れてしまう。
まずは、本書のポイントをメモ書きしたものがあるので、抜粋してみる。
- ある仕事を任されたとき→ABCに分解する。Aはせいぜい10個程度なので、さらに重要度でランク付けし、まずは上位3つに全力投球する。A:最も重要で、ぜひとも自分がやらなければならぬ仕事。B:重要だが、部下に任せられる仕事。C:それ以外。B・Cについては部下に任せて、もっと大局を高いところから判断するようにする。そうすれば自分も部下と共に成長できる。
- 上の目で70%まで達成したと見たとき、思い切って任せると、部下は感激しておおいにやる気を出し、ぐんぐんあとの30%を吸収し、学び、自分のものとし、成長し始める。また、残りの30%は任されて見ないと、その重み、難しさ、やりがい、面白さはわからない。
- 任せるとは失敗権を与えること、と開き直るくらいの度胸のよさ、神経の太さを、上司は持つべきである。失敗権=失敗をとがめられない権利。ただし、3回目以降はプロとして一人前の責任を取ってもらう。与えられた期間内に必ず一人前になる義務がある。
- 失敗してみてはじめてよくわかることが少なくない。どうせ失敗するなら早めに失敗して、早く改善するほうがいい。素人がどんな点でまごつき、どういうミスをするかを見てみるのがよい。失敗の原因としては次の9つが挙げられる。(1)知識不足、(2)訓練不足、(3)思い込み・勘違い、(4)チェック不十分、(5)恐れ・ためらい、(6)準備・計画不足 (7)せっかち・早合点、(8)ぐずつき、(9)少しおかしいと思ったことを放っておく。
- 任されるプロになるには、任せた上司の立場になって考えるべき。結果も大切だが、プロセスも同じように大切であり、上司の立場に立って考えると、プロセスが順調に進行していることを知らせ、安心してもらって始めて万全と言える。
- コミュニケーションは本来双方向。指示に対して、報告という双方向のフィードバックが必要。結果報告は、結論から。報告書の1ページは要点のみを大きな字で。
- ミスをしたときは、ミスの原因を正しく伝えること。これからの帰趨について自分なりの見通しをはっきりと伝えること。自分なりの対応策を2〜3ケ提示する。また、ボヤのうちに助けを求め、大火になる前に消火する。
- 仕事を任せられない人:(1)自分の存在価値がなくなるのではと危ぶむ小心者・職人的な人。(2)仕事を複雑にしすぎている人。(3)完璧主義者→どんどんまかせて本来自分がやるべき仕事を見つける。
- 仕事の優先順位をはっきりさせ、時代の変化と共に不要になった仕事はなるべくカットする。もし、その仕事が不可欠であっても単純・繰り返し的なものなら、できるだけ自動化する。
- 任せるためのマニュアル作り:(1)まず、任せるべきものをリストアップする。自分のやり方を客観的に、吟味・批判・検討できる。(2)マニュアルは詳しすぎないこと。すぐに変えられること。(3)目的・意味から教え、チェックとフォローアップを根気強く繰り返す。(4)もっとよいやり方がないか、部下と協議し改善する。
- 状況の先取り=後手でなく、先手で手を打つことをマネジメントと呼ぶ。
改めて読んでも要点を付いていると思う。この時から4年経つが実践できているであろうか? 自分はどちらかというと人が良くて、たとえ部下であっても気を遣ってお願いしづらく、自分で処理してしまう方だ。しかし、「任せること=自分が楽をすること」ではなく、「任せること=部下を育てること」だということをこの本で学んだ。また、この本の素晴らしいところは、任される立場、つまり部下としての心構えも記している点である。中間管理職というと大げさだが、課長と部下の間に立って、いろいろ捌かなければならないことも多い。そんな意味でも価値ある一冊であった。
その後4年間で経験的に学んだことを付け加えておく。
- 部下に任せるためには、情報の共有化が必要。自分で入手した情報を部下に知らせるべきかどうか、その場で判断すること。後になって・・・では忘れてしまう。
- 上司からの指示があった時点で、自分で成すべき仕事か、任せるべきものかを判断すること。忙しくて手が回らなくなったからお願い・・・などというのは最低の方法である。
- 基本的には自分が理解している仕事を任せること。自分が知らないことを依頼するのは、「任せる」ではなく、「丸投げ」という。知らないことを丸投げすると、チェックポントが分からず、ミスの原因となる。また、自分が行ってきた経験から、ミスの出やすいポイントをあらかじめ教えておくことも必要。更には、中長期の案件については、中間報告を求め、大きなミスになる前に軌道修正をすること。

>2003.3.30.SUN
○0018 『捨て童子・松平忠輝』 >隆慶一郎/講談社文庫/1995.03.05・2001.07.22
背表紙あらすじ:【上巻】捨て童子とは、この世ならぬ途方もないエネルギーを持ち、人を戦慄せしめる人物。徳川家康の第六子でありながら、容貌怪異なため、生まれ落ちてすぐ家康に「捨てよ」といわれた"鬼っ子"松平忠輝の異形の生涯を描く、伝奇ロマン傑作。新鮮な発想や史観、壮大なスケールで完結をみた、著者最後の長編。 【中巻】凛々しく成長した忠輝は、越後福嶋藩の大名となる。福嶋藩のキリシタン化を企てる大久保長安には、忠輝を将軍とする新体制をつくりあげる野望があった。忠輝を狙う、兄の将軍秀忠と柳生宗矩。途方もないエネルギーを持つがゆえに、権力者たちの暗闘に巻きこまれていく忠輝の波瀾の生涯を描く伝奇ロマン。 【下巻】大坂夏の陣、忠輝のもとに出陣命令が下る。大坂城中のキリシタン牢人に、キリシタンに理解が深い忠輝の軍勢をぶつけようという、兄秀忠の底意地の悪い計画。そして、父家康と兄秀忠の暗闘、宿敵柳生一族との確執。途方もないエネルギーを持つがゆえ、波瀾の生涯を送る忠輝を描く長編伝奇ロマン全三巻完結。
『影武者・徳川家康』に引き続き、この本も2回読んでいる。というよりも、『影武者』を読むと連鎖的に読みたくなってしまう作品なのだ。忠輝という人物については、この本を読むまで知らなかった。歴史の舞台で活躍する新しい主人公を見つけるのは非常にうれしいことである。
さて、『影武者』にも出てくるのだが、隆慶一郎は傀儡子(くぐつ)など道々の輩に注目している。天皇を上にいただき、いかなる権力にも屈しない、誇り高き漂流の民が傀儡子である。自由の象徴として描かれる彼らは、この後始まる江戸幕府という長く閉ざされた時代に必死に抵抗しているように感じる。私が歴史小説を好むのは、時代の先達が残してくれたさまざまな教訓を垣間見ることが出来るからだ。この傀儡子の生き方から現代を振り返ると、今の世の中は私達が思っているほど自由ではないのかもしれない。普通に生きている限り、生き方を阻むものなど無いに等しい世の中であり、フリーターという言葉に象徴されるように、自由な生き方が可能ではある。しかし、逆説的にいうと、何にも縛られないがために、自分たちが自由だという自覚は薄く、気が付くとつまらない人間関係に縛られて生きているような気がする。何事でもそうだが、制約事項がある中で得られたものほど価値は大きいのである。
◎0017 『影武者徳川家康』 >隆慶一郎/新潮文庫/1995.03.27・2001.02.03
背表紙あらすじ:【上巻】慶長五年関ケ原。家康は島左近配下の武田忍びに暗殺された。家康の死が洩れると士気に影響する。このいくさに敗れては徳川家による天下統一もない。徳川陣営は苦肉の策として、影武者・世良田二郎三郎を家康に仕立てた。しかし、この影武者、只者ではなかった。かつて一向一揆で信長を射った「いくさ人」であり、十年の影武者生活で家康の兵法や思考法まで身につけていたのだ…。 【中巻】関ケ原で見事な勝利を収めた徳川陣営。しかし、嫡子・秀忠による徳川政権が確立すれば影武者は不要となる。その後の生命の保障がないことを知った影武者・二郎三郎は、家康を斃した島左近を軍師に、甲斐の六郎率いる風魔衆を味方に得て、政権委譲を迫る秀忠、裏柳生と凄絶な権力闘争を始めた。そして、泰平の世を築くため、江戸・大坂の力を拮抗させるべく駿府の城の完成を急ぐ。 【下巻】いまや二郎三郎は、秀忠を自在に操る家康なみの智将であった。彼の壮大な夢は、江戸・大坂の和平を実現し、独立王国=駿府の城を中心に自由な「公界」を築くことだった。キリシタン勢力を結集した倒幕の反乱を未然に防ぎ束の間の平安を得るが、秀忠の謀略から遂に大坂の陣の火の手が上がる。自由平和な世を願い、15年間を家康として颯爽と生き抜いた影武者の苦闘を描く渾身の時代長編。
実はこの作品3回も読んでいるのである。1回目の時期は記録していないのだが、文庫本が出てすぐに読んだので、1993年頃だと思う。大学3年生の時だ。私が3回も読むのは非常に珍しく、それだけ心を惹かれた作品ということ。もともと歴史小説が好きなのだが、誇大妄想とでもいうべき、家康影武者説を繰り広げながら、秀忠との確執を剣術や忍法などのアクションを織り交ぜて描いてあるからたまらない。3回とも一気に読みきってしまった。
家康が関ヶ原の戦い以降、影武者にすり替っていたということ以外は、史実に忠実であり、影武者説を裏付ける資料や情報が頻繁に出てくるため、ついつい本当かもしれないと思ってしまう。また、影武者の主人公・世良田二郎三郎の人物描写が素晴らしく魅力的であり、それを取り巻く島左近(そういえば島左近も生きていた!?)や甲斐の六郎もいい。宝島社の「このミステリーがすごい!」でも取り上げられており、もはや時代小説の範疇を超えた作品に仕上がっている。
作者の隆慶一郎氏は既にお亡くなりになってしまったのだが、今後の作品に期待していただけに、非常に残念である。司馬遼太郎亡き後、大型の時代小説作家が不在なのは寂しい限りだ。最近、歴史小説を読まなくなったのは、書き手が少ないからだろうか? あるいは魅力的な歴史上の主人公が語りつくされてしまったからだろうか? 歴史的事実という定められた枠の中で、いかに主人公を躍動的に描くか。新しく物語を紡ぐ作業とは別の想像性が求められるのである。
△0016 『おごるな上司!』 >堀田力/日本経済新聞社/1997.07.12
本日5つ目の書評。気が付くと夜中の1時で日付が変わっている。1冊の本に対して感じた事や自分の意見を書くというのは思ったより時間の掛かる作業だ。ビジネス書関係は、気になったセンテンスをメモしていたので、比較的進めやすいが、単純な抜書きなのでその時何を感じたかはもう思い出せない。今読み返して何を感じるかを書き記しているわけだが、一言一言考えさせられるものが多く、やはり時間が掛かってしまう。
『おごるな』はメモしている箇所が多いので、今読み返しても気になるところだけを抜粋。
- 大きな仕事することによって、人から評価され、それに喜びを感ずる。だからもっと上のポストにつき、さらに大きな仕事をして評価されたい。これが名誉欲で、こうした欲を持って努力していくのは大切(名誉欲はよいが、権勢欲はよくない)
- 要は結果主義・能力主義。努力主義ではなく、どれだけ成果をあげているか。努力する場合も成果に結びつく努力かを見極めること。成果に向けてどう取り組んでいるかが大切。
- リーダーの条件 (1)判断力 (2)組織管理能力 (3)説得力。一本線で進む能力ではなく、周囲に気配りをしながら、いろいろな面まで柔軟に見て判断していく能力。
- 一生懸命やってきたが部下としては平凡な人は、努力の仕方を知っているし、下積み苦労も理解し、人の気持ちもよくわかる。上司になると部下をうまく使いこなして、組織力を一段と発揮させることがある。優秀な部下が優秀な上司とは限らない。
- 若い人の意見を聞く訓練をしないと、時代にあった判断ができなくなる。
- 批判は積極的・建設的であれ。具体的な提案や行動を伴うこと。
- 報告は上司が部下を判断する上で、非常に大きな要素となるという事を念頭において訓練していくことが大事。→要点をまとめ、相手に判るように伝える能力をつける。報告を受ける上司としては、報告の本来の意味を知る。部下の人間味を見抜く。上司は簡単にはだませないことをアピールする。
- ものごとに誠実にとりくむのが人生の基本。何年か経つうちに蓄積され、1つの評価となる。これによって培われた信頼感は生涯の財産。
- 嫌なことをやめるのは簡単。やめるべきことをやめるのは難しい。やり方が決まってしまうと、みんなモノを考えなくなる。やり方が時代に合わなくなってきても、おかしいと思わなくなる。
この本を読んだのは5年前で全くの平社員だったが、今では私も数人の部下を抱える立場(管理職ではないよ)。人の意見を聞くこと、コツコツと努力することの大切さが謳われている。いろいろなビジネス書を読んできたが、結局努力に勝る才能なし、といったところか。最近、努力してるかなあ?

>2003.3.30.SUN
苗村屋読書日記 [04]

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