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![]() △0330 『反乱のボヤージュ』 野沢尚 △0329 『エコノミック・プロフィット…EVA経営入門』 津森信也 △0328 『よくわかる金融商品会計』 横山登 △0327 『将来予測重視の予算マネジメント』 ベリングポイント △0326 『島津奔る』 池宮彰一郎 △0330 『反乱のボヤージュ』 >野沢尚/集英社文庫/2004.9.18 背表紙あらすじ:坂下薫平19歳。首都大学の学生寮で、個性溢れる面々と楽しい日々を過ごしていた。だが、寮の取り壊しをもくろむ大学側は、元刑事の舎監・名倉を送りこみ、厳しい統制を始める。 時を同じくして起こった、寮内のストーカー事件や自殺未遂騒動。だが、一つ一つのトラブルを乗り越えながら結束を固めた寮生達は、遂に大学側との戦いに立ち上がる。現代の若者達の「旅立ち」を描く、伸びやかな青春小説。 野沢さんが自ら命を絶ってから約3ヶ月。なかなか作品を手に取ることが出来なかったのだが、そんな自分の気持ちに反して本屋には「追悼」と銘打った販促のポップが溢れている。なんだか違和感を覚えつつも、そろそろいいかなと思い、文庫本を手にした。 本書は、ドラマにもなった作品。ドラマが先か(つまりノベライズ)か原作が先かはよく知らないが、ずっと楽しみにしていたにもかかわらず、見逃してしまったもの。こうして原作を読んだ今、やはりドラマの方も見てみたいと思ってしまう。出演者も魅力的で、渡哲也(名倉憲太朗)、岡田准一(坂下薫平)をはじめとして、大河の『新選組 !』でも活躍中の八嶋智人(司馬英雄)や堺雅人(江藤麦太)など顔ぶれを見るだけでも面白そうである。 本書のテーマは自分の将来のことをあまり真剣に考えなくなった学生達に一石を投じるもの。主人公・薫平の成長と、名倉の少ないが重い一言に野沢さんの思いがぶつけられている。最近は「ニート」という働く意思の無い若者のことが話題になっているが、私が学生の頃に比べると、二極化が進んでいるように思う。つまり、自分の将来をしっかりと見据えて行動する若者と、どうすればいいか分からず悩んでいるうちに取り残されてしまった若者。大雑把に分けてしまうのは危険なことかもしれないが、野沢さんの描いている学生は、今よりもむしろ、バブルからそれ以降の数年間の学生を象徴しており、現実とは少し食い違いが生じているかもしれない。当時の方が無目的に一流企業に入るためだけに大学を目指している学生が多かったような気がする。今の学生のことをよく知っているわけではないが、例えば私が通っているCPAの学校にも大学生が何人かいて、将来は会計士になりたいなどと真剣な目で語ったりしている。一方で会社に入ってもすぐにやめてしまい、フリーターになってしまう後輩もいる。 さて、「ニート」とは、"Not in Employment , Education or Training" の略(NEET)であり、英国において「働かざるもの」を意味する造語である。こまかいニュアンスは分からないが「自分の夢の為に今は下積みでフリーターやっています」という若者ではなく、「とりあえず何やっていいかわかんないからフリーターやってます」という人びとを指しているように思う。本書でも就職が内定していた銀行から、内定取り消しの通知を受けた学生に対して、卒業した先輩が自分の企業の悪い点をあげつらって、内定を取り消されてむしろ幸せだというようなことを言うシーンがあるのだが、このような先輩達がいる会社で、上司の目を気にしながら働く気は起きないであろう。学生達が魅力を感じる会社や先輩。最近はそんな雰囲気作りを人任せにせず、自分でやっていかなければならないのではないかと感じ始めている。 なんだが、随分と話がそれてしまったが、自分が正しいと思うものにきちんと向かい合い、時には戦うことが必要だという大切さを教えてくれた作品。こんな作品をもっともっと書いて欲しかったのだが。改めてご冥福をお祈りしたい。
△0329 『エコノミック・プロフィット…EVA経営入門』 >津森信也/中央経済社/2004.9.17 EVAとは、economic value addedの略で、ソニーや花王といった優良企業が導入し、実績をあげているということで、日本企業でも導入され出した経営指標である。しかし、スタン・スチュアートの登録商標であるということ、計算が複雑で手間がかかるということから、EVAを模した独自の指標を利用する企業が多い。 従来、日本企業には「キャッシュといえば、銀行から借りるもの」という不文律のようなものがあり、一方で、「借りた金は出来るだけ早く返そう」という風潮が強かった。株式公開や社債発行には手間がかかるし、個人投資家が少ない一方で世界有数の貯金国家である日本では、銀行借入が調達手段の主要な部分を占めていたのである。 しかし、日本経済と共に企業が発展し、規制緩和が進んだこともあり、株式公開や社債発行などが比較的簡単に出来るようになると、企業の資金調達は銀行借入から他の方法へと少しずつシフトしてきた。この背景にはバブル崩壊で傷ついた企業のバランスシートを少しでも健全化しようという流れがあり、有利子負債の削減が強く叫ばれていたのは記憶に新しい。 さて、EVAの理論は、その一歩先を行くと考えてよいのではなかろうか。手元のキャッシュに余裕が出てきた経営者がそのお金で借金返済を図ろうとするのが、従来の日本企業の常識であったが、ファイナンス理論では、借金返済が最適な手法とは考えないのである。そもそも資本金というのは返さなくてもいいお金であり、自己資本とも呼ばれているが、この資本を維持するためには「配当金」というコストが必要となる。また、配当金以外にも、株主の「値上がり期待」という目に見えないコストも発生するのである。EVAはこの「目に見えないコスト」を可視化しようという指標である。 つまり、自己資本に対して、株主が期待する利回り(=値上がり期待率)を設定し、それを上回る利益をあげなければ、企業を評価しないというもの。逆にいうと、株主の期待を上回る企業の株価のみが上昇するという理屈である。株主というのはリスクに見合うリターンを期待するため、ハイテク企業など業績の変動が大きい企業ほど、株主の期待値は高くなる。結果として、これらの自己資本にかかる「株主資本コスト」は借入金のコストよりも高くつくのである。 一方で、借入金は「株主資本コスト」よりも低金利であるし(特に今の日本では!)税務上も損金として認められる為、より有利だというのがファイナンス理論の主張するところ。配当金は税金を支払った後の税引後利益から払い出すため、税額控除の恩恵を受けられないのである。こうして見ると、株式を増資して借入金を減らすことは、「株主資本コスト」を増大させることに他ならないのである。 長々と書いてしまったが、要は借入金と自己資本とのバランスをうまくはかりながら、資金調達をしなければ、市場は評価してくれないというものである。EVAは大まかにいうと、会社の利益から、借入金のコストと自己資本のコストを除いた数値であり、これこそが株主の期待収益である。企業が属する業界特有のリスクなども折りこまれているため、平等な指標といえるかもしれない。日本の個人投資家たちがどこまでこのような指標を意識しているのか分からないが、日本企業にも外国人株主がふえつつある今、無視できない指標となりつつあるのは確かだと思う。 最後に、簡単な計算式を抜粋して終わりたい。
△0328 『よくわかる金融商品会計…入門実践アカウンティング』 >横山登・茂木哲也/日本実業出版社/2004.9.15 ひとことで「金融商品会計」というと、なんだか小難しいような気がするが、切り分けて考えると、少しは理解できるであろう。かなり大雑把かもしれないが、大きく3つに分けると、(1)有価証券、(2)債権・債務、(3)デリバティブ・ヘッジ会計、について定めたものを「金融商品会計」と呼んでいる。要は「時価会計」という国際会計基準の波を受けて日本でも制定されたもので、有価証券などを時価で評価し、損益計算書や貸借対照表にも反映させようというものである。ちなみに、従来の日本では土地や有価証券の含み益を会社のバッファとして利用する「含み益経営」が横行していたが、バブル崩壊以降含み益も減少し、というよりも含み損を抱える会社が増えてきたため、世界的な批判を受け会計ビックバンの一環として修正されたもの。(土地については影響が大きすぎるため、時価評価は先送りされたが、この度「減損会計」という制度が適用されることになっている) ■有価証券:保有目的別の評価方法
△0327 『将来予測重視の予算マネジメント 』 >ベリングポイント/中央経済社/2004.9.14 本書の編集を行った「ベリングポイント」という会社は、KPMGコンサルティングが社名変更し、更にアーサーアンダーセンのコンサルティングを買収して大きくなった会社である。今まであまり耳慣れなかったが、最近やたらと社名を聞くようになってきた。 私は経理という仕事柄、予算にも携わってきたのだが、予算に関する本というのは意外に少ない。管理会計の最たるものあり、各社各様で、決められたルールがないからだと思うが、世の中で制度会計の変更が盛んに謳われているにもかかわらず、この注目度の低さはなんなのだろうかと、常に疑問に感じていた。また、これは個人的な感覚かもしれないが、結局予算というのは会社毎に制度が異なるので、一所懸命実務を覚えても、他社ではあまり役に立たないのではないかと感じていた。そんな中で、ベリングポイント社が、面白い本を出版しているのを見つけて、早速読んでみたもの。まずは気になった部分の抜粋から。 ■予算とは
抜粋の冒頭に予算の定義が出てくるが、私なりに理解している「予算」とは、「経営者にとっては、会社の将来を予測するための経営ツールであり、従業員にとっては達成するための目的でありモティベーション・アップのためのツール」というもの。1つの制度の中に、2つの目的を包含しているために、いろいろと齟齬が起こってくるのだと思う。経理という部署はこれらの両者の間に立つ調整役のようなもの。今まで「予算」という業務を軽く見ていた部分があったが、本書を読んで、会社の情報を最先端で入手できるチャンスだと思い直した。また、差異分析などはどこへいっても通用するスキルであるし、大局的な視点を養うチャンスかもしれない。前向きに取り組めば何をやっても勉強になるし、面白く出来ると信じて頑張らなければ…。
△0326 『島津奔る』 >池宮彰一郎/新潮文庫/2001.06.15 背表紙あらすじ:【上巻】九州制覇、文禄・慶長の役と、後半生を常に戦場で過ごしてきた薩摩の太守・島津義弘は、政局を読み取り、敵の作戦を察知する才に長け、大胆な攻撃で敵を打ち破る戦略家として、内外に恐れられた。小心者の徳川家康、官僚主義者の石田三成、保身に走る兄・義久という思いきった人物設定で、戦国武将の内面に鋭く迫り、現代の指導者たちにも熱い共感を呼んだ大作。柴田錬三郎賞受賞。 【下巻】秀吉の朝鮮出兵後、景気は急速に衰え、戦後不況が猛威を振るう中、戦国末期の日本は、東西両軍が対峙する関ヶ原の戦いで活路を見出そうとしていた。薩摩の太守・島津義弘は兵力不足にもかかわらず、わずかな家臣を引き連れて関ヶ原へ向かう。劣勢を承知の上で戦いに挑んだ義弘の真意とは? 現代政治の不毛と重ね合わせながら「関ヶ原」を再現し、指導者のあるべき姿を示した傑作。 題名の良さに惹かれて購入したのだが、内容の方は今一歩であった。関が原の動乱に際して、南国の勇・島津義弘にスポットを当てているのだが、主人公の描き方のせいだろうか、あまり引き込まれるものがなかったのは残念。 本書は、司馬遼太郎の『関ヶ原』との類似点から盗作騒ぎがあり、絶版になったというニュースが流れたそうだが、先ほどアマゾンで検索して見たところ、2営業日以内にお届可能だそうである。本書読了時には、そんな事実は知らなかったのだが、知っていたら買わなかったかもしれない。 何ヶ所かにマーカーが引いてあるので、一部分を抜粋するが、この部分はオリジナルなのだろうかと勘繰ってしまう。「一旦、戦いに加わっておりながら、勝てんとみたら兵を引く…それで敵がそのまますますと思うか。島津に戦意なしと見たら、敵は図に乗って国を潰しにかかるぞ。戦というものはな、勝つには勝ち方があり、負けるには負け方があるのだ。それを考えて動かんと国を誤る。よう心得ておけ」 関ヶ原に関する話を読むたびに感じるのだが、家康に破れた薩摩と長州が、後の明治維新で倒幕を成し遂げるというのは、日本の歴史の一番面白い部分だと思う。仲の悪かった薩長が手を結ぶのだから、まったく歴史は面白い。
苗村屋読書日記 [66]
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