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△0395 『100億稼ぐ仕事術』 堀江貴文
△0394 『マネーロンダリング』 橘玲
△0393 『考える技術』 大前研一
×0392 『ミステリーファンのための警察学読本』 斉藤直隆
△0391 『通勤大学MBA−ヒューマンリソース』 青井倫一


△0395 『100億稼ぐ仕事術』 >堀江貴文/ソフトバンク・バブリッシング/2005.04.14

 今や最も著名なビジネスマンの一人となってしまった「ホリエモン」こと堀江貴文氏が、ライブドアに社名変更する前のエッジ株式会社時代に書いた本である。今やトヨタの新社長の名前は知らなくても、堀江貴文の名前を知らない人は少ないのではなかろうか。球団買収問題や今回のフジテレビ問題で一躍有名になったわけだが、どんな考えで経営をしているのかを知りたくなり、興味本位で買ってみたもの。

 実は積読のままだったのだが、やっと手に取ることができた。感想は「結構まともだな」というもの。個人的に堀江氏のことはあまり嫌いではない。好きかといわれれば否だが、嫌いではない。そんな感じである。

 さて、肝心の100億の稼ぎ方だが、1.ヒト、2.ジカン、3.ジョウホウ、4.カネ、5.ツール、という5項目を挙げており、なかなか面白い意見もあったので紹介してみたい。その前に、堀江社長は東京大学に合格しているのだが、大学合格に向けての計画の立て方や集中力の発揮の仕方には見習うべき点も多い。では、項目ごとにポイントを明記してみよう。

  • ヒト:顧客への売り込みに関してはとにかく記憶に残る努力をすること。部下については1人でマネジメントできるのはせいぜい30人だが、この30人のマネジメントを完璧にこなすこと。>ノミニケーションについても言及しており、意外な感じがした。ワンマンのように見えるが結構部下の話に耳を傾けようとしている姿勢が見えた。
  • ジカン:会議は「仕切り」につきる。予めレジュメを用意し事前に配布しておく。また人数は10名以下に絞ること。結論を必ず出し、実行する日を決める。会議後、議事録を出席者に配布する。>改めて書き出すと当然のことのようだが、実現できていないものが多い。上の立場のものが率先して意識しないとなかなか変わらないものの最たるものが会議の運営方法である。
  • ジョウホウ:メールを最大限に活用する。やるべきことを自分にメールし、情報を一元化する。また、必要な情報はその場で記憶する。記録も必要だが記憶に勝るものではない。>自分にメールというのは面白い発想。私も電車の中などで明日やるべきことを思いついたりした場合は、携帯から会社へメールしている。しかし、自分の席に座りながら自分にメールするという発想はなかったなぁ。
  • カネ:コストカットに限界はない、キャッシュフローを意識して経営しないと会社は潰れてしまう、得たキャッシュは消費者に還元するなど、カネに関してはごく普通の意見が多いように感じた。
  • ツール:ノートPC+メールソフトにより、情報を一元化し、かつどこでも閲覧可能にしている。前述の通りメール自体をTODOリストにしている。特筆すべきはメーリング・リストの企業内での活用。プロジェクト毎にメーリング・リストを作成することにより、情報の共有化を進めている。>メーリング・リストは非常に魅力的なツールである。会社のプロジェクトなどでは、いつも誰に議事録を送るべきか迷ってしまう。人によっては一部の人にしか返信しなかったりする為、完璧な情報の共有化は難しいのである。
 このように、結構面白い発想が多いのだが、気になるのは本書が随分前に書かれたものであるということ。基本的な考え方はさほど変わっていないであろうが、ライブドアに社名変更してから、随分いろいろな経験を積んでいるだろうし、とくに「カネ」に対する考え方が大きく変わったのではないだろうか。

 さて、プロ野球が開幕して間もないが、昨年世間を騒がせた新球団の楽天は苦戦しているようである。それに比べると、ライブドアと楽天が争っているのを尻目に、漁夫の利のようにダイエーホークスを買収してしまったソフトバンクの方が一枚上手だったように思う。ダイエーの戦力をほとんどそのまま引き継いだわけであり、ライブドアと楽天の争いはなんだったのかと改めて感じてしまう。今話題のフジテレビとの争いについても、今回はソフトバンクインベストメントがホワイトナイトとして登場しているが、ふたを開ければまたもやソフトバンクグループに漁夫の利を持っていかれるのではないだろうか。(そういえば本書は皮肉にもソフトバンク・パブリッシングから出版されている)

 私が堀江氏を嫌いでないのは、織田信長的な魅力を感じるからである。既 存社会の規制を取っ払おうと孤軍奮闘しているところなど、好感が持てる。いろいろ取りざたされている立会外取引(時間外取引)によるニッポン放送の株式取得についても、巨人である今川義元に立ち向かう桶狭間での信長に重ねることは出来ないだろうか。しかし、悲しいかな信長はその独善的な性格により部下からの反逆を受けてしまう。堀江氏にはそんな危うさも感じるのだが、次に出てくる秀吉・家康はいったい誰であろうか。ソフトバンクの孫氏は武田信玄的であり、秀吉・家康とは違うように思う。まだまだ我々の知らない血気盛んな経営者が沢山いるのだろう。いや、いることを期待したい。今後の日本経済発展のためにも…。

>2005.04.14.THU


△0394 『マネーロンダリング』 >橘玲/幻冬舎/2002.08.15・2005.04.06

 背表紙あらすじ:香港在住もぐりのコンサルタント・工藤をある日、美しい女・麗子が訪ねる。「五億円を日本から海外に送金し、損金として処理してほしい」彼女の要求は、脱税の指南だった。四ヶ月後、麗子は消えた。五億ではなく五十億の金とともに。すぐに工藤は東京へ。麗子と五十億の金はどこへ? マネーを知り尽くした著者による驚天動地の金融情報小説。

 最近、重点的に読んでみようと思っているのが金融関係の小説である。一時期凝ったことがあり、何冊か持っているのだが、最近のライブドアとフジテレビの問題に触発されて再読しようと思ったもの。ミステリーも面白いが、やはりビジネス小説というのはたとえフィクションであったとしても現実に近い部分が描かれており、今の自分に重ね合わせたり出来る楽しさがある。本書は金融をテーマにしたビジネス小説でありながら、ミステリーの要素も多く、一冊で二度おいしい作品である。

 舞台は香港。金融企業をドロップアウトした工藤秋夫(仮名)が、金融の裏技を駆使して逞しくサバイバルするストーリーである。例えば香港では、金利に課税がされない為、日本の小金持ちたちが口座を開こうとこぞってやってくる。その手助けをしてやるのが秋夫の仕事なのだが…。無防備に秋夫の目の前でサインをしたり、口座番号・パスワードなどを教えたりするクライアント達。油断する方が悪いと、クライアントの口座に入金された金を拝借しているようでもある。

 香港での口座開設に始まり、タックス・ヘイブンでのペーパー・カンパニーの作成方法など、知る人ぞ知る薀蓄が盛りだくさんで、これだけでも十分に楽しめるのだが、ミステリーの方もなかなか凝っており、最後まで犯人が分からなかった。ちなみに、タックス・ヘイブンは英語ではtax havenであり、税金を回避する「港」を意味するもの。tax heaven (税金天国)ではない。秋夫の周りの香港人たちは、ペーパー・カンパニーの設立などが犯罪に関与することを嫌うのだが、「脱税」は犯罪ではないという認識でいるのが面白かった。確かにタックス・ヘイブン国においては、脱税そのものが成り立たない。

 ワールドワイドな知識のない日本人を揶揄してもいる。例えば電話番号。国際電話の表記は国コードである「81」の後に局番から「0」を除いた番号を記入するだとか、住所はマンション名や番地から始まり、郵便番号と国名で終わるだとか。日付についても、英語では「日・月・年」だが、米語では「月・日・年」だとか。したがって、月の部分は混乱を避ける為、英語表記しなくてはならない。何年も英語を勉強してきて、こんなことも知らない日本人のなんと多いことかと。(このHPは日本風に「年・月・日」になっているなぁ)

 もう1つ面白かったのは、秋夫がある人物の生い立ちを調べる為に、探偵を雇うシーンである。いとも簡単に個人情報が引き出せることに驚いたのだが、金に困っている従業員が手っ取り早くカネを得るために名簿の売却を行なうというのはよくある話だとのこと。4月1日より個人情報保護法が施行されたが、需要があるからにはなかなかなくならないのが犯罪である。

>2005.04.06.WED


△0393 『考える技術』 >大前研一/講談社/2005.04.03

 大前研一の著書は、なぜかついつい買ってしまうのである。マーケティング能力が高いのだろうか、今サラリーマンが必要としている要素を、うまくタイトルに折り込んでいる。最近、似たような主張が多いなと思い、筆者の著書を買うのを手控えていたのだが、ついつい買わされてしまった。

 内容はロジカルシンキングの延長のようなものだが、特定のフレームワークで考えないというのが大前流。さまざまな発想をさまざまな角度から考えることにより、アイデアが生まれるのであり、今の世の中はそのアイデアを具現化する絶好の場というのが彼の主張である。実際に近未来を予測し、ホームサーバーの充実や進化型携帯電話など、面白い発想を紹介している。誰でも気がつきそうなのだが、融合的に考えるというのは、なかなか難しいのであろう。コロンブスの卵的発想ができる人が、これからの世の中で大金を稼いでいくのである。

 本書では、携帯電話の今後を予想しているのだが、私自身、以前究極のPDAというものを考えたことがある。PDAについては、ソニーが徹底を決めるなど携帯電話に押され気味であるが、個人的に親指入力が嫌いな為、究極のPDAができないかと心待ちにしている。大前研一を倣って、その機能を述べてみよう。

  • とにかく薄いこと。多少大きくてもミニ6穴の手帳サイズ程度であれば、携帯性を損なわない。個人的には文庫本サイズでも問題なし。スーツのポケットに入れられる大きさであればOK。
  • 形は電子辞書のようなイメージ。普段は閉じた状態で、開くと上部がディスプレイ、下部はキーボードという構成。
  • ディスプレイには有機ELを利用し、低電力化を図る。また、タッチパネルとしても使用可能な作りにしておく。
  • キーボードにはIBMのTHINKPADのようなマウス機能を設ける。またはタッチパネルにより、マウスと同様の操作性を維持する。
  • 記憶装置はフラッシュメモリーではなく、ハードディスクを備えていること。これにより、PCのデータを携帯することが可能であり、音楽データ、さらには画像・動画データも携帯できる。
  • 音楽はヘッドフォンによって聴くことができる。MP3、WMAなどに対応しており、USBケーブルを通してPCから簡単にダウンロードできること。
  • 通信機能を内蔵していること。インターネットの閲覧やメール受信は当然のこと、IP電話としても利用できること。音楽などのダウンロードも可能。
  • 電話の通話については、ヘッドフォン・マイクを利用する。音楽を聴くためのヘッドフォンを少し加工してマイクを取りつける。
  • 充電池+乾電池の使用が可能なこと。充電池しか使えないのはいざというとき不便である。できれば単4・1本で5〜10時間ぐらい稼動するとよい。
  • 電子辞書を内蔵していること。電子ブックも読めること。
  • JRと提携してスイカ機能を内臓。
  • 全国標準の「電子名刺」を作成し、名刺交換を紙の世界からデータの世界に変更する。子供達がゲーム端末でやっている赤外線通信のようなイメージ。メールアドレスやURLを入力する必要がなくなり、手間もかからず間違いも防げる。
  • デジタルカメラ機能も必要。また、技術的に可能かどうか分からないが、デジカメのレンズを利用して簡易プロジェクター機能を持たせれば、取引先でのプレゼンテーションにも活用できる。
 簡単に言うと、普段、会社に行く際に持ち歩いているものを全て1つに納めてしまおうというコンセプトである。会社へ行く際といえば、財布、定期、名刺、携帯電話、MP3ウォークマン、電子辞書、電卓、時計などを持ち歩いているが、これらがひとつになればカバンが要らなくなってしまう。話題が拡散してしまったが、詰まるところ、この様に1つのことを色々な側面から考えてアイデアを出していくことの重要性を説いているのである。

 さて、本書で述べられているもうひとつの重要なポイントは、「現象と原因を区別して考える」ことである。これは、私自身重要だと思いつつ、なかなか会社では実践できていないことのひとつである。企画書を書く時など、問題点を列挙するのがオーソドックスな手法だが、果たしてこれは問題点なのか単なる現象なのか、迷ってしまうことが多々ある。本質的な原因を突きとめるというのは、論理的思考能力を多分に必要とされるのである。

 ここまで書いて、以前、勤め先の社長から言われた言葉を思い出した。「問題と問題点を区別して考えろ」というもの。社長曰く「問題というのは、顔がブサイクということ。これに対して問題点は鼻の形がおかしいというもの。問題点を突きとめず、問題だ問題だと騒いでみても何も解決しない」とのこと。(社長から声をかけてもらった嬉しさと、私の顔を見ながらの前述の発言とで複雑な気分であった…) 言葉は違うが、問題=現象、問題点=原因と読みかえれば、謂わんとしていることは全く同じである。

 いつものごとく、後半3分の2程度は、時事問題に対する大前氏の持論を述べたもの。これはこれで具体的だし勉強になるのだが、私としてはもう少し普遍的なものの見方を期待してしまう。また、以前はあまり気にならなかったのだが、自信が自慢に感じられてしまう文体も今ひとつ。『サラリーマン・サバイバル』を超える著書が出ないのは残念。

P.S.80,000 hits over! >2005.04.03.SUN


×0392 『ミステリーファンのための警察学読本』 >斉藤直隆/アスペクト/2005.03.31

 平積みにしてある本というのはやはり目立つもので、さらにPOPなどがついていると、ついつい手にとってしまうのは本好きの性であろう。それで騙されたとしても、自分の眼力がなかったと諦めるしかない。本書は、本屋で手に取った第一印象と、実際読んだ感想がかけ離れていたもの。店頭では他のミステリーと並べて華々しく飾られており、「ミステリーを読むために知っておきたい警察の知識」などといううたい文句が添えられており…。

 構成としては、警察小説の書評、警察官へのインタビュー、警察組織の解説といったところである。このうち、書評の部分が一番面白くなかった。数十冊の警察小説が紹介されているのだが、読みたいと思わせるものがなかったのが残念。私もWEBという媒体を利用して書評を書いているが、いざ書評でお金を稼ぐとなると相当難しいのだろうと感じた次第。趣味程度が一番である。

 次にインタビュー。こちらは週刊誌を読むノリで読み進めた。暇つぶしには面白いが、さほど後に残るものはない。最後に、警察組織。これはなかなか勉強になった。これまでの乱読から、ある程度の予備知識はあったのだが、こうやって体系的に並べてもらえると非常にすっきりと頭の中に入ってくる。

 例えば「警察庁」と「警視庁」の違い。警察庁は各自治体が運営する警察組織を管理・監督する組織である。大前提として日本の警察組織は「自治体警察」として、各都道府県の地方自治体が運営することになっているのだが、それぞれがバラバラの組織形態で行動しては混乱が生じるので、これを調整する立場である。警察庁にはいわゆる警官や刑事はおらず、皆、国家公務員で事務職。文部省の中に学校の先生がいないのと同じと考えれば分かりやすい。

 では「警視庁」はというと、これは言うなれば「東京都警」である。名目上は大阪府警や千葉県警と同じ、地方自治体が運営する警察組織である。しかし、歴史的にも組織の大きさから見ても他の自治体警察とは別格扱いとのこと。また「庁」という名前がついているのも特徴であり、混乱を招く原因でもあるのだが、警視庁は前述の通り省庁ではない。しかし、歴史的には一番最初に「庁」という文字を使った組織だそうで、今も「警視庁」という名前を使い続けているのである。

 警察内部の組織についても解説されている。まず「組織犯罪対策部」 これは警視庁の改革によって新たに生まれた組織だそうで、昨今の治安の悪化や検挙率の低下の一因とも言われる外国人犯罪や、多角化する暴力団犯罪に対抗すべく設けられたもの。以前は刑事部に属していた捜査四課を生活安全部にあった銃器対策課、薬物対策課などの組織を統合したもの。1課から5課まであり、1課:国際犯罪組織に係る総合対策、2課:国際捜査共助及び国際犯罪捜査、3課:暴力団等に係る総合対策、4課:暴力団等に係る犯罪の取締り、5課:銃器及び薬物に係る総合対策・取締り、という分掌となっている。

 一番多くの刑事を抱えるのが刑事部である。有名な捜査一課は強行犯と呼ばれる殺人・傷害など人の命に関わる事件を受け持つ。その中の一係は総務的な部署で捜査費の分配や出張手当の支給・精算など縁の下の力持ち的存在。二係は俗に言う迷宮入りの事件を追う継続捜査を担当する部署。三係から十係までが殺人事件などを担当する。捜査二課は主に知能犯を担当。選挙違反、贈収賄、企業ぐるみの犯罪、詐欺・横領事件など。最近はやりの「オレオレ詐欺」改め「振り込め詐欺」なども担当している。捜査三課は盗犯担当。空き巣、泥棒、忍び込みなどを担当する。また、話題の偽札事件も三課の担当である。

 機動捜査隊、通称・機捜は初動捜査を担当する。まだ現場周辺に潜んでいるかもしれない犯人逮捕に向けて真っ先に動き出す。同時に、現場の遺留品や指紋採取などを担当するのが鑑識課である。『新宿鮫』でおなじみなのが生活安全部。捜査課が扱う事件以外の全てをカバーする。繁華街で起こる事件なども生活安全部の担当である。

 公安部は潜行捜査が主体の秘密警察的な側面を持つ特殊部隊。公安一課は極左の暴力主義的破壊活動に関する警備・取締り、公安二課は労働紛争議および極左活動関係、公安三課は右翼関係、公安四課は資料の収集及び整備・統計などを担当している。この他、外事一課は外国人に係る犯罪の取締り、外事二課は急増するアジア地域の外国人犯罪が担当、外事三課は外国人によるテロ活動の取締りを担当している。ちなみに公安部として独立しているのは警視庁だけで、他の都道府県警では警備部がその役目を負っている。

 この他にも交番のお巡りさんが所属する地域部、皇室関係などの警備を担当する警備部。白バイ隊員などが所属する交通部、経理や人事を担当する警務部などが存在する。

 さらに捜査本部の作られ方など、横山秀夫の小説やドラマ『踊る大捜査線』のシーンが目に浮かぶような豆知識が満載である。個人的には、この辺りの情報をもっと充実させて欲しかったのだが、残念ながら、ほんの一部でしかない。というわけで評価は辛口だが×とつけてしまった。

>2005.03.31.THU


△0391 『通勤大学MBA−ヒューマンリソース』 >青井倫一/通勤大学文庫/2005.03.27

 何冊か紹介している「通勤大学」シリーズだが、やはりこれだけの薄さにMBAのエッセンスを詰め込むというコンセプトに無理があるのではないかと思いはじめた。最近、仕事の関係で人事部との打ち合わせが多かったので、試しに読んでみたのだが、文字が上滑りするというのだろうか、内容が頭に入ってこないのである。

 耳慣れない言葉のオンパレードだからかもしれないが、一通り読み終わってみて「これは!」というページがなかったように感じる。既にヒューマンリソースに関する知識をある程度持っている人には、格好の教科書なのかもしれないが、全く無知な私にとっては、「簡単過ぎて難しい」という変な感想を持ってしまった本である。

 人材採用の「インフロー」、人材育成や人事異動といった「内部フロー」、退職時の「アウトフロー」などのコンセプトは理解できるし、OJT、業績評価、バランスト・スコア・カードなどといった単語も理解できるのだが、人事に関する事項を浅く広く集めすぎたのではなかろうか。一番興味を持っていた組織構造についても、ありきたりな説明であまり面白いとはいえなかった。

 やはり、何かを学ぼうとする時に、楽をして薄っぺらい本で誤魔化そうとするのがよくないのであろう。最初は多少難しくても、グロービスなどのテキストに取り組み、コンセプトを整理する目的で本シリーズに手を出すのがよさそうである。急がば回れ。

>2005.03.27.SUN

苗村屋読書日記 [79]

     



































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