[PR]中古車探しはガリバー:在庫多数、全車保証つき!
![]() ◎0425 『不毛地帯』 山崎豊子 ○0424 『ファーストレディ』 遠藤周作 △0423 『阿修羅ガール』 舞城王太郎 △0422 『天然まんが家』 本宮ひろ志 △0421 『結構使える! つまみ食い「新会社法」』 山田真哉 ◎0425 『不毛地帯』 >山崎豊子/新潮文庫 背表紙あらすじ:【第一巻】元大本営参謀・壱岐正は、酷寒の極地シベリアの収容所で、11年間の拷問と飢餓と強制労働に耐えぬき、昭和31年12月帰還する。”第二の人生は誤りたくない”と願う彼は、近畿商事の社長大門の再三に渡る誘いに応じ、商社マンとなることを決意する。シベリアでの地獄のような抑留生活の傷も癒えないまま、彼は再び”商戦”という名の熾烈な戦いの中に身をおく。 【第二巻】商社マンとして生き抜くことを自分の宿命として感じるようになった壱岐正は、防衛庁の次期戦闘機選定にともなう各商社・メーカーの受注合戦に巻き込まれていく。彼は戦闘機には携わりたくないという信条をもちながらも、次期戦闘機の選定が次の総裁選挙の道具にされていることを憤り、国防のために、本当によい飛行機を採用させるため<黒い商戦>に耐え、戦い抜こうとする…。 【第三巻】黒いFX商戦から10年、日本経済は次々と襲い掛かる貿易・資本自由化の嵐に直面し、第三の戦争<経済戦争>に突入する。アメリカの巨大自動車企業フォークが、虎視眈々と日本市場を狙う中、商社マンになって11年目を迎えた壱岐正は、アメリカ近畿商事の社長として経営不振の千代田自動車とフォークの提携交渉を進める……。国際経済戦争の最前線に立つ壱岐正の苦悩を描く。 【第四巻】近畿商事に入社して十余年、壱岐正は、異例の昇進をしナンバー3となる。彼はエネルギー資源のない日本の将来を考え、商社マンとしての最後の仕事に、イランのサルベスタン鉱区の石油開発に賭ける。戦後史の中で見過ごしてはならぬ《敗戦》とそれに続く《シベリア抑留の悲惨》と、日本経済を繁栄させ、支えてきた総合商社と政治家との国際商戦にとまなう癒着を描いた社会派巨編。 漸く読了である。途中、他の本を並行して読みながらとはいうものの、2ヶ月近くかかったのではなかろうか。面白く、どんどん読めてしまいそうなのだが、そこを敢えて腰を据えて読み進めた作品である。前回の読了は1996.10.24で、記録によると約1週間で4冊を読み切っている。社会人になって1年と少しの頃。ビジネスの世界はこんなにも波瀾万丈なのだろうかと、ページを捲る手が止められなかったのを思い出す。 今回は初読の時よりも、社会人としての経験が増えたこと、またじっくりと読んだこともあり、色々考えさせられることが多かったように思う。本書では商社の派手な一面のみを取り上げているように感じるが、現実としてこれだけ大きな仕事を成し遂げるのは並大抵のことではなく、地道な努力を怠らなかった者のみが、成功を勝ち得ると言うことを忘れてはならないであろう。 さて、本書では航空機、自動車、石油という3つのビジネスに、主人公の壱岐が関与することになるのだが、改めて筆者である山崎豊子の慧眼に感服した。というのも、今現在もこれらの業界は注目の的であり、戦後すぐという舞台にもかかわらず、古さを感じさせない設定となっているからである。単行本の出版が1976年であるから、今からちょうど30年前。いち早く繊維業界の衰退を予見し、重厚長大産業の進展を予想している。一時期、ITバブルに湧いた日本だが、トヨタ自動車の好調など、改めて日本の原点が製造業にあることを感じているのは私だけではないと思う。 航空機については、本書で取り上げられているのは戦闘機だが、旅客機を含めた航空業界に目を移すと、JALグループの事故頻出など、ある意味で注目されている業界といってよいであろう。ちなみに、飛行機事故に関しては『沈まぬ太陽』で詳しく描写されている。自動車については、マツダとフォードの提携、三菱自動車とクライスラーの提携、いすゞ自動車・スズキとGMの提携など、外資との提携(むしろ子会社化?)が活発に進んでいる。そして何よりも、カルロス・ゴーン氏のもとで復活した日産とルノーの提携は自動車業界を象徴する出来事といってよいであろう。 そして、石油業界。原油高で様々な業界に影響を及ぼしている石油だが、こちらもエネルギー資源を持たない日本の弱さを鋭い視点で描いている。最近は中国企業による買収なども活発のようだが、石油という資源はまだまだエネルギーや素材の中心にあるといってよいであろう。また、石油業界を描くに当たっては、最近漸く日本でも馴染みの出てきたファイナンスの手法もふんだんに使われており、筆者の見識の高さを改めて思い知らされたように感じた。 このような大きな3つの舞台を、一気に駆け抜けた壱岐正という人物。彼自身も魅力的だが、彼を取り巻く上司、部下、ライバル達も活き活きと描かれており、男達のドラマとしても十分に楽しめるものとなっている。壱岐を抜擢した社長の大門。社内のライバルである里井副社長と、社外の好敵手・鮫島。そして、兵頭、海部、不破、塙といった壱岐を支える部下達。中でもとくに兵頭の人物を感じさせるキャラクターが気に入っている。石油という難しい業界に身を置きながら泰然自若とした佇まいが非常に魅力的な男である。 ラスト近く、権力の座にしがみつこうとする社長の大門に、自らの退職願いを胸に、辞任を迫るシーンでは、胸に熱いものを感じた。名経営者は引き際も潔いというが、経営者の心構えなども知ることのできる一冊であった。この他にも、大所高所から物事を見る大切さなども、本書から学び取ることが出来るであろう。
ここで印象的な言葉を引用してみたい。 壱岐:業務本部を設立するにあたって、はじめて会社全体の経営という問題に取り組んだ時、商社の経営と軍の戦略が極めて似ていることに気付いた。その第一は、まず目的を決め、目的達成のための方策を考え、実行するための部署をつくること、第二は、適材適所に人員を配置し、チームワークを組ませること、第三は、いかなる事態に対しても迅速に総合力を発揮する機動力が大切であるということだった。しかし、軍と商社の違いは、軍では国家目標を達成するためには、命令によって兵隊を動かすことが出来るが、商社は自由意志を持った人間の集団であるから、社員が納得し、自覚して案件の遂行に持っていかなければならない。 壱岐:「私はかねてからこれだけ大きな会社で、責任と権限の組織体制が曖昧であることに疑問を持ち、経営会議を提唱して来ましたが、私の真意は、まだ役員ご一同にはご理解戴けず、従来の多数決原理で、会社の最高方針が決定されております。しかし、数にたよる多数決原理は、往々にして会社の方針を誤らせるものであることは、過去に破綻した企業の実例を見るまでもなく明らかで、こと全社的な経営方針にかかわる問題について、最後に決するのは社長一人だと思っております」 他にも印象的な言葉は沢山あるが、どれもが商社という組織を、そして経営を熱く語る言葉である。 さて、本書の主人公・壱岐正は、伊藤忠商事の元会長・瀬島龍三氏がモデルだというのは有名な話である。私も何かでこのことを知り、瀬島龍三の回想録である『幾山河』や、『沈黙のファイル―「瀬島 龍三」とは何だったのか』などを手にとって見た。詳細はあまり覚えていないので、これらの本も機会があれば、再読し書評を書いてみたい。
最後に、壱岐の旧友が壱岐に送った言葉を抜粋。
○0424 『ファーストレディ』 >遠藤周作/新潮文庫 背表紙あらすじ:【上巻】戦争末期、空襲下の東京で、女学生の百合子と愛子は二人の大学生と出会う。その一人、渋谷と戦後再会した百合子は、もう一人の大学生、辻を慕いながらも渋谷の求婚を受け入れる。議員の家系に繋がる百合子との結婚によって、渋谷は政治家としての第一歩を踏み出した。一方、シベリア抑留から病んで帰った辻は、医者を目指す愛子と結ばれる。かくて二組の夫婦の戦後が始まった……。 【下巻】ついに大臣の座にまで上りつめた渋谷忠太郎。しかし妻の百合子は、金が人の心を動かすのだと信じてやまない夫に対し、どこかなじめないものを感じていた。彼女の心には、未だ捨てきれぬ辻への想いがあった。その辻と愛子の夫婦はそれぞれ弁護士と医師という職業に打ち込んで、満ち足りた生活を送っているように見えた。やがてそれぞれの夫婦に思いもよらぬ事件が起こって…。 初読は大学生の頃。読書記録をつけ始めたのが社会人になってからなので、詳しい日付は不明だが、確か大学3年生の頃ではないかと記憶している。遠藤作品にはまった時期があるのだが、その中でも特に強く印象に残っていたのがこの作品。比較的「善人」を描くことが多い(私の印象だけかもしれないが)遠藤周作の作品にあって、本書の主人公である渋谷忠太郎は、悪人とは言わないまでも、強烈な個性をもったキャラクターである。 古本屋で、1冊100円で売っていたので、懐かしさもあって衝動買い。「衝動買い」というほどの値段でもないが…。しかし、一部のネット書店では絶版の為、取り扱いをしていないとのこと。プレミアがついているのではと期待したが、アマゾンではユーズド価格が1円だった。 さて、本書は渋谷忠太郎という青年が政治を志し、大臣にまで上り詰める話である。戦後間もない頃の日本の政治を描いたものであり、主人公の忠太郎以外は、三木武吉、田中角栄、佐藤栄作などという実在した政治家が登場する。現実の世界の中で、遠藤周作が作り出した渋谷忠太郎という、野心に燃える青年が闊歩していく様が活き活きと描かれている。カネが全てだという忠太郎の生き方は、非常にアクが強いのだが、なんとなくそのユーモラスな姿を想像し、許してしまうのである。最後に、自分の健康に自身を失くしたとき、初めて人間らしい言葉を口にするのが印象的であった。心境に変化があったからこそ、もう少し長生きをして欲しかったと思う。 一方、忠太郎と供に戦争を行きぬいた友人の辻静一。忠太郎とは正反対に真面目一本で、困っている人を少しでも助けられるようにと弁護士を志す。しかし、海外渡航の飛行機で、ハイジャックの流れ弾で非業の死を遂げるのである。そんな、静一にも森田ミツという妻以外の女性がいるところが、作者のキャラクター作りの妙であろう。ちなみに、この森田ミツという女性は、『わたしが・棄てた・女』の主人公とのこと。(そう言えば、作中に出てくる「勝呂」という医師もどこか別の小説に登場した記憶があるのだが、思い出せない)他の作品の登場人物をちらりと据えるところなど、読者心理をくすぐる演出である。 現実の政治の世界では、郵政民営化を争点に総選挙が行なわれようとしているが、正直、政治に関してはあまり詳しい知識を持っていない。学生時代は、経済のこともチンプンカンプンであったが、それでも毎日、日経新聞を読んでいると何となく基礎知識が身に付き、さほど読むのが苦痛でなくなってくる。しかし、政治に関しては一度きちんとした知識を身に付けようと思いつつ、なかなかその機会がないため、疎いままである。情報というのは少しでも予備知識があると、格段に頭に入ってくる濃度が違ってくる。だからこそ、このままではいけないと思うのだが…。 とは言うものの、最近、政治をテーマにした小説を手に取る機会が増えたように感じる。真保裕一の『ダイスをころがせ!』や白石一文の『すぐそばの彼方』など。無意識のうちに、政治を気にし出しているのかもしれない。
△0423 『阿修羅ガール』 >舞城王太郎/新潮文庫 背表紙あらすじ:アイコは金田陽治への想いを抱えて少女的に悩んでいた。その間に街はカオスの大車輪!グルグル魔人は暴走してるし、同級生は誘拐されてるし、子供たちはアルマゲドンを始めてるし。世界は、そして私の恋はどうなっちゃうんだろう?東京と魔界を彷徨いながら、アイコが見つけたものとは―。三島由紀夫賞受賞作。受賞記念として発表された短篇「川を泳いで渡る蛇」を併録。 お手上げである。現在勉強中の監査論で言うならば「Disclaimer(意見差し控え)」 三島由紀夫賞を受賞している作品で、文学的価値も大きいのかもしれないが、最後まで納得出来ないまま終わってしまった。こういった作品を面白いと感じられないのは、感性が鈍ってきているのであろうか。 主人公アイコは女子高生。私とほとんど同年代の筆者が、苦もなく女子高生の言葉を駆使しているのには驚かされる。(実は苦しんでいるのかもしれないが) ヘタをすると非常に読みにくい作品になりかねないところを、独特のリズム感で読ませてしまうあたりは流石。特に冒頭の書き出し部分は秀逸。「減るもんじゃねーだろとか言われたのでとりあえずやってみたらちゃんと減った。私の自尊心。返せ」 しかし、文体は気に入っても、肝心のストーリーの方で楽しめなかった。 2ちゃんねるを彷彿させる「天の声」というサイト。そこから始まる「アルマゲドン」という暴動。中学生を「厨房」と称し、暴力を加えていく様など、現代社会の縮図を見るかのよう。しかし、誘拐された佐野については、結局うやむやのまま終わってしまうし、最初はミステリーかと思って読み進めたものの、結論が見えないままであったのが残念。まぁ無理矢理事件を解決する必要もないのだが。 舞城作品はこれで3作目の文庫化。どの文庫も解説を載せていない。作者が解説を拒否しているのか、解説できる人がいないのか…。まぁどうでもいい話である。しかし、表紙は単行本のままの方がよかったなぁ…。
△0422 『天然まんが家』 >本宮ひろ志/集英社文庫 背表紙あらすじ:デビュー作『遠い島影』から、『男一匹ガキ大将』の大ヒットをへて『俺の空』『硬派銀次郎』『サラリーマン金太郎』まで。つねに新しいジャンルに挑み、数々の名作を生み出してきた本宮ひろ志が、みずからの半生をはじめて明かす。“鬼オヤジ”との確執、身も心もぼろぼろになった恋、そして創作の苦悩と喜び。漫画にすべてをかけた男の熱き魂の自画像。巻末には北方謙三、大谷在昌との2本の対談を収録。 私も少年時代はご多分に漏れず、少年ジャンプの愛読者であった。田舎だったせいか、学校帰りの駄菓子屋には発売日よりも一日早く届く為、友人と連れ立って向かったものである。しかしながら、本宮ひろ志の作品についてはあまり思い出がなく、当時は『キン肉マン』『ドラゴンボール』などが隆盛だった時代。本宮作品の全盛期はもう少し時を遡らなければならないのであろう。 そんな私が出会った最初の作品が項羽と劉邦を描いた『赤龍王』である。劉邦と虞美人が付き合ってしまうという史実にはないシチュエーションだが、なかなか面白く、男性の絵は乱暴なのに、虞は随分かわいく描いているなと感心しながら読み進めたのを記憶している。本書に書かれているのだが、おそらく女性の絵は本宮氏の奥さんのもりたじゅんが描いていたのであろう。この『赤龍王』は私にとって偉大な作品。というのも本書から司馬遼太郎に興味を持ち、読み始めたのである。司馬遼の作品であるから、いずれは手に取ったであろうが、『赤龍王』がなければ司馬遼との出会いはもっと後になっていたであろう。 しかし『赤龍王』以外にはこれといった作品に出会っていないような気がする。本人も自覚している通り、途中で飽きてしまって滅茶苦茶なラストになることが多いため、きちんと読んだという記憶がないのである。また、氏の代表作である、『男一匹ガキ大将』『俺の空』『硬派銀次郎』などは先ほども述べたとおり私がジャンプを読み始めるよりも少し前の連載だったようで、なじみがない。当時のジャンプを牽引したという『男一匹ガキ大将』には興味があり、機会があったら読んで見たいとおもっている。 さて、本書で一番面白く感じたのは、本宮自身が「絵が下手」ということを自覚し、アシスタントに任せてしまっているという部分。これはむしろ通常のビジネスの世界に通じる極意ではないだろうか。経営者というのは万能なわけではなく、優秀な部下達にそれぞれの得意分野を任せていくのが肝要。本宮氏は経営者的視点で「絵を描く」という、一見まんが家にとって最重要とも思われる部分を任せてしまい、自分は「ストーリー作り」に専念したと言えよう。これは本質を見極め、何が大切かをよく理解している証左だと思う。 先日『再生巨流』という小説を読了し、その際に「ビジネスを新たに創出する小説は初めて」というコメントを書いたが、よく考えてみると氏の『サラリーマン金太郎』もゼネコンという中で、新しいビジネスを作り上げていっている。破天荒だがなかなか侮れない作品。こちらもそのうち纏めて読んでやろう。
△0421 『図解 山田真哉の 結構使える! つまみ食い「新会社法」』 >山田真哉/青春出版社 『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』で一躍有名になった山田氏の著書である。今般改正となった新会社法をまさに「つまみ食い」の勢いで解説している。概要を理解する為には使えるかもしれないが、実務で使おうとするならば、もう少し詳細な解説がないと耐えられないであろう。 帯を見ると新会社法の要点として、(1)有限会社の廃止、(2)資本金は1円でいい、(3)取締役は一人でいい、という記述があり、更にカバーの折り返しを見ると、本書を読んでいただきたい方(1)30分で会社法を知りたい方、(2)これまで会社法の勉強をしたことがない方、(3)自分の会社でも新会社法が使えるかどうかを知りたい方。次の方々は決して読まないでください(1)法律専門家の方、(2)硬い文章が好きな方、(3)マンガが嫌いな方、とのことである。まぁマーケティングがしっかりしているというのだろうか、要は初心者にターゲットを絞ったということであろう。 私自身、細かく勉強した訳ではないのだが、大所は捕らえているという印象。しかし『さおだけ屋』で気を良くした作者が、2匹目の泥鰌を狙っているように感じなくもない。今回の会社法改正は大企業よりもむしろ中小企業やベンチャー企業の発展を見据えたものだと認識しているのだが、法律などに精通していない若手の社長などが買っていくのではないだろうか。全体像を把握するのは良いことだと思うが、実際に自分の会社に適用する際には、専門家の意見を聞くなどした方がよいであろう。
苗村屋読書日記 [85]
![]() |