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![]() ◎0465 『容疑者Xの献身』 東野圭吾 △0464 『イン・ザ・プール』 奥田英朗 △0463 『新米国公認会計士試験 ビジネスロー』 池末成明 △0462 『新米国公認会計士試験 公会計および非営利会計』 渕上浩志 △0461 『新米国公認会計士試験 経済/財務およびIT』 井上洋平 ◎0465 『容疑者Xの献身』 >東野圭吾/文藝春秋 読了してから随分間が空いてしまった。実際に読んだのは3月の終わりごろなので、2ヶ月以上も経過。基本的に読後感想というのは、直後に書かないとそのときの感動が素直に表わせないと思うのだが、本書は素晴らしい作品だけに、陳腐な感想では失礼かなと思い先延ばしにしてしまった。しかし、仕事でもそうだが先延ばしというのは百害あって一理なしである。感動を暖めておくつもりが、結局は記憶から抜け落ちて、冷めてしまってはどうしようもない…。 前置きはこのくらいにして、本書の感想を。結論から言うと素晴らしい作品である。読者を徹底的にミスリードするテクニックは流石。叙述ミステリーは小手先に頼っている感じがしてあまり好きではないのだが、本書は本格ミステリーと叙述ミステリーの良質な部分だけを上手く抽出し、更には現実的に焼きなおしたといった感じで悪くないのである。 主人公は、『探偵ガリレオ』の湯川教授。しかし湯川以上に強烈な個性を放っているのが、「ライバル」といってもよいであろう「ダルマの石神」である。数学に関しては天才的な頭脳を持つ男だが、大学内のしがらみを嫌い高校で数学を教えている。非常に生真面目な男なのだが、ある事件をきっかけに犯罪に巻き込まれていく…。石神の動機については、他人の為にここまでやるだろうかという疑問がなきにしもあらずだが(一応、筆者は石神の心情を解説している)ずっと生真面目に生きて来た男の純情だといえば、納得できなくもない。 それにしても捜査の眼を、そして読者をミスリードする展開が素晴らしい。読書中、何か変だ何か変だと感じながら、ずっともやもやとしていたものが、ラスト近くで一気に氷解する。聡い読者であれば、あぁ、と気付くのかもしれないが、私としてはトリックに気付かなくてよかったと思った珍しい作品である。思い返せばしっかりした伏線も張られており、気付いて当然の事柄なのかもしれないが、人間というのは目に見えるものを信じてしまうのだなぁと改めて痛感した。 唯一つ不満なのは、徐々に盛り上がるラストに向けての緊張感に比して、結末があまりにもあっさりと書かれていたこと。恐らく筆者は意図してのことなのであろうが、もう少し余韻が欲しかった。…というのは読了直後の感想であって、改めて考えると、これぞ石神という男の性格を如実に現しているのではないかと思えてくるから不思議である。一切の排除し目的に向けて黙々とひた走る。そんな石神のキャラクターに「余韻」という文字は不要かもしれない。
△0464 『イン・ザ・プール』 >奥田英朗/文春文庫 背表紙あらすじ:「いらっしゃーい」。伊良部総合病院地下にある神経科を訪ねた患者たちは、甲高い声に迎えられる。色白で太ったその精神科医の名は伊良部一郎。そしてそこで待ち受ける前代未聞の体験。プール依存症、陰茎強直症、妄想癖…訪れる人々も変だが、治療する医者のほうがもっと変。こいつは利口か、馬鹿か?名医か、ヤブ医者か。 奥田英朗といえば『最悪』『邪魔』といった犯罪小説しか読んだことがなかったので、本書では意外な一面を見た気がした。実際には本書の続編である『空中ブランコ』で直木賞を受賞しているくらいだから、このような作品の方が得意なのかもしれない。 感想はというと「一級の娯楽小説」とでも言うべきだろうか。あまり余韻の残る小説ではないので、評価は辛口の△とさせていただいたが、一気に読める面白い作品である。プール依存症、陰茎強直症、妄想癖と、よくこれだけ思いつくなぁと感心するほど奇異な人たちが伊良部総合病院を訪れる。「地下にある神経科」という部分は『チームバチスタの栄光』の愚痴外来に通ずるものがあって面白い。 最後に一箇所だけ、マーカーを引いた部分があるので抜粋したい。プール依存症男に対する妻の言葉である。「三十を過ぎてから自分にうぬぼれるようになったのよ。男ってどこかそういうところがあるのよね。若造扱いされなくなると、逆に変な自信持っちゃって…。会社の話を聞いても、あの部署の誰某は馬鹿だとか、あの担当者は無能だとか、そんなことばかり言って。二十代のころはそうじゃなかったのに。部下を持つようになってからは、他人にやたらときびしくなって。おれがやらなきゃ誰がやるって顔して…」自戒自戒…。
△0463 『新米国公認会計士試験[重点解説シリーズ]ビジネスロー』 >池末成明/清文社 重点解説シリーズの最後に紹介するのが、現在勉強中のビジネスローである。本書も他のシリーズと同様、暗記する為ではなく、理解する為の教科書という位置づけであろう。 筆者は非常に頭の良い方で、自分なりの工夫をして受験生用が暗記しやすいように表を作ってくれている。しかし、この表が自分の理解とぴったり一致したときは非常に有効なのだが、自分の理解を超えてしまうと、逆に分かりにくくなってしまう。何度も読み込んで「あぁそういうことか」と理解しなければ、使いづらい表が2〜3割はあるだろうか。まぁこれは私自身の理解力のなさから来ているのだろうが。 細かいということは理解に行き詰ったときに辞書のように利用するには良いが、全体を捉えるには不向きでもある。たまたま私は、筆者自身の授業と、予備校の授業とを受講したのだが、予備校の方は受験対策のみに的を絞り込み、非常に速いテンポでポイントのみを教えてくれるものであった。結果として、細部の理解は出来ないまでも、CPAにおけるREGの位置づけ、またREGにおけるビジネスローの位置づけ、そしてビジネスローの全体像が理解でき、学習の速度が速まったように思う。予備校の授業を受けたあとで、本書を読むと、随分理解の度合いが深まったように感じた。 結局、物事というのはまず全体を捉えて、そこから細部へ入っていった方が頭に入りやすいということであろう。ちなみに、筆者の名誉の為に書き添えておくと、本書の構成もまず全体像を把握し、各論へ入っていくという方法を取っている。よって、まずは各章の概論のみを読み飛ばし、各論を読み込めば、効果的であろう。 ただ、暗記目的としては不向きなので、自分なりに暗記用のノートを作成するか、本書に出てくる表をコピーしてノートに貼り付けるかして、ボリュームダウンを図るべきだと思う。また、丸暗記をするよりも、本書のように法律の背景まできちんと書かれているものを一回読んでおくと、理解による記憶が定着し、忘れにくくなるであろう。 今回の学習で、様々な参考書や問題集を手にしてみたのだが、ここで私が理想とするUSCPAのテキストを挙げてみたい。
(1)覚えるべき項目の詳細の解説を載せていること。
(2)例題と詳解を記載する。
(3)暗記用のサマリーノートがあること。
(4)分冊できるよう、必ず奇数ページを各章のタイトルとすること。
(5)索引は必須。 最後に、重点解説シリーズの一覧を付しておく。
△0462 『新米国公認会計士試験[重点解説シリーズ]公会計および非営利会計』 >渕上浩志/清文社 本書を含む「重点解説シリーズ」を7冊纏めて買うと割引になったので、全てを購入したのだが、試験対策と言う意味では当たり外れがあるシリーズ。中でも出来が良いのは財務会計と監査論である。それ以外の著書も、充実した内容で、よく出来てはいるのだが、受験参考書としては個人的な好みに合わないものが多かった。 本書も、非常に充実した内容なのだが、受験生にとっては少し回りくどいだろうか。最近はFAREの中で「公会計」の占める重要性が高まってきているようではあるが、やはり基本は財務会計であり、公会計については時間をかけずにポイントだけ勉強したいものである。細部に渡り詳細に解説してあるのだが、詳細すぎて使いづらいというのがホンネである。 何回か試験を受けて、残るはFAREのみ、しかも公会計が苦手、という人にはお薦めかもしれない。しかし、実際の実務ではあまり使わない知識だと思うので、どこまで勉強するかは受験テクニックの話となるであろう。
△0461 『新米国公認会計士試験[重点解説シリーズ]経済/財務およびIT』 >井上洋平/清文社 BEC合格から随分たつが、CPAの勉強を再開したので、忘れないうちに本書についても感想を。BECという幅広いカテゴリーをカバーすべく書かれたものだが、ちょうど受験体系が変更される過渡期に出版されたため、中途半端なものになっているのが惜しい。つまりは、BECの全範囲をカバーしようとすると、本書のほかに『ビジネスロー』の一部と『管理会計』を読む必要があるのだ。一冊で勉強を完了させたい人にはあまりお薦めできない。 内容の方は充実している。特にIT関係については、筆者の専門分野でもあり、詳細に書かれている。しかしながら、これも残念なことにBECの出題傾向が従来から少しずつ変わってきているため、本書+アルファの知識が必要となるであろう。このあたりの知識は最新の問題集でカバーするしかない。 経済・財務とも受験対策としては十分な内容。個人的には財務、つまりはファイナンス理論に興味があったので、もう少し掘り下げて欲しかったと思うのだが、実際試験にさほど出題されるわけでもないのでこの程度でよいのであろう。ファイナンスに興味のある方はMBA関係の書物を読むとよいであろう。
苗村屋読書日記 [93]
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